第2話 サンシャイン

次の日、早速その人から電話があった。


美生みおさんですか? 私、ヴェスパの件でこちらに電話するよう言われたんですが。」


「バイク屋さんから聞いています。まず、お名前を伺っていいですか?」


その人は、ようと名乗った。とにかく、すぐ話をしたいという感じであったが、美生は直接会って話しましょうということで授業が終わったら学生食堂で会うことになった。


かなり手強い相手であることが予測できたので、美生はけい有希ゆきにも来てもらうことにした。


授業が終わって学生食堂で美生たちが待っていると、が来た。やはり、その人は美生の予想通りだった。向こうも美生を憶えているらしく一直線に、つかつかとやって来る。


「待たせたわね。」陽は美生たちの2メートル前で立ち止まった。


美生が陽を見るのは久しぶりだが、相変わらず美人だった。背は170センチ超えの美生よりちょっと低い位で、艶やかな黒髪が背中までかかっている。肌は白く、名前のとおり太陽のようなゴージャスな美人で、後光が差しているかのように見えた。地味だが上質そうなワンピースがまた陽を引き立てている。


有希は「ほえ〜。」と言った。佳は怯えて美生の後ろに隠れている。


4人はテーブルについた。美生が何か言う間もなく、陽が勢いよく話し始めた。


「私、美生さんが乗っているヴェスパを見て、このスクーター素敵、私も乗ってみたい。いや私が乗るなら、これしかないわ。なんとしてでも乗ってみせるわ。」

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