その鏡の向こう側、置き去りにしていた想い出が、迎えを待っていたんだ。

幼馴染みだった仲良し四人組は、ある夏を境にバラバラになってしまう。後悔を抱きながら日々は過ぎゆき……そして高校三年の夏、彼らは突然の再会をすることに。
再び一緒に遊べることを喜びつつも、ふとした拍子にぎこちなさが過ぎる。それでも彼らは昔の友情を、取り戻せたと思っていたのだが——。

穏やかに始まり緩やかに友情を取り戻す青春小説、のような流れは、一章のラストで不意にひっくり返されます。
物語の本当の始まりは、そこからと言ってもいいでしょう。

心なんて見えないもの。
時にそれは自分自身をも欺いて、偽の感情を抱かせもします。
容赦なく真実を暴いてゆく「鏡」ですが、本当は、ただ本物が欲しかっただけなのでしょう。
青臭い友情だからこそ、いつか煌めく想い出として、懐かしく思い見ることもできるのでしょう。

完結後の番外編も、とても愛おしい物語です。
ちょっと不思議な青春小説、ぜひ最後までお読みください。

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