イマジナリー・ラウンド

超獣大陸

第1話 そして、戦いは続く

男1「聞いてくれ。俺たちの高校生活をアニメ化するにあたって、問題があることに気づいたんだ」


男2「エ。アニメ化されるのか! すごいな! それで、その問題とは!?」


男1「男女比だ」


男2「男女比……か!?」


男1「男二人が延々と絡んでいるアニメなど、どこに受容がある? 俺に友達はいない。お前にも友達はいない。つまり、ノーガール、ノーフレッシュネスなのだよ!! これは死活問題!!」


男2「需要はあるところにはあると思うが」


男1「……とにかく、だ。俺はこの問題点を解決する策を考えついた」


男1「つまり彼女を作ればいいのだよ」


男2「なるほど、天才か! ………だが、どうやって作る?」



男1「ヘロンの感覚遮断実験を知っているか?」


男2「いや、知らん」


男1「昔の偉い先生が行った実験でな。今はあまりの危険性から禁止されている実験だ」


男2「なんだと!?人体実験か!」


男1「人体実験だ!!」


男2「………。………それで具体的には、どういうのなんだ?」


男1「視角、聴覚をマスクなどでふさぎ、体温が室温と同じになる服を着せた上で被験者をベットに拘束する。

そして簡単な食事と排泄以外はなんの刺激も与えない状態にするんだ。

要するに五感のほとんどを使えなくして『何も感じない』状態にする。

それで人間がどれくらいの日数で発狂するかを調べたんだ」


男2「じ、人体実験だ……!!」


男1「結果は数時間。長くても3日で発狂したそうだ。中には後遺症が残った被験者もいる。悪魔の実験だよーーただもう一つ面白い結果が得られたんだ」


男2「それは?」


男1「幻覚、幻聴ーーとにかく、人は『話し相手』を妄想して作り上げた。頭がおかしくならないように、脳が一人芝居を始めたわけさ。これを空想の友達ーーイマジナリーフレンドと呼ぶ。

そして、俺たちはこの現象を逆手にとる。それがーー」


男2「イマジナリー彼女か!!すごいな!!」


(ひしと抱き合う)


男1「この服をきて、特性マスクをつければヘロンの実験とほとんど同じ状態だ。実験を止める時と食事のために右腕くらいは動けるようにしておくかーーいいな?」


男2「おぅ!いいな!ワクワクだな!」



男1「では、さっそくやってみよう。数時間後には我々はリア充……いやさ、イマジナリーリア充だ!」


男2「ひゃっほう!! イマジナリー彼女となら手を握ったり、デートしたりーーーききき、キッスもいけるんだよな!?」


男1「いやぁ、それ以上だ! あはんうふんいやん、バカん、やめッやめッ! あっあっアッー! だ!」


男2「………」


男1「正直すまんかった」


男2「気にするな。実験をすすめてくれ」


男1「………では、また数時間後に。互いの彼女を自慢しあおうじゃないか同志よ!!」


男2「あぁ、健闘を祈る!!」


(数時間後)


男1「………」

男2「………」

男1「………」

男2「………」


男2「オレの彼女。エロかった。最高だった。ああ、最高だったよチクショウ………」


男1「わかっている。皆まで言うな。俺も同じだ」


――刺激してしまったのだな


(おわれ)

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