広漠としたバードゲット砂漠の向こうに
「望んだモノをかならず出してくれる店」
があるという。
だが、自分が望んでいるモノが何であるかさえ、少年はまだ知らない。
自分自身が何者であるのかさえ、少年はまだ知らないのだから。
何のために旅をするのか。
何を求めて旅をするのか。
どの道を歩き、
どの未知を求めるのか。
未知なき道を疎んじて、
道なき未知を歩き続ける。
もしかしたらそれは――旅をすることそのものが目的なのかもしれない。
求めるモノが『未知』であるなら、求める者には何が与えられるのだろう?
『求めよ、さらば与えられん』
たとえ、どれだけ時代が流れても、少年が旅に出る理由はいつだって同じだ。
――世界とは壮大なる未知である。
その未知の広大さを知った時、少年は自分が少年であったことを知る。