ロボット、友情、スーパーカー、恋愛、怪獣、感動……。全部あります‼

 今回読者諸兄に紹介するのは、ド直球のスーパーロボット物だ。

 クトゥルフ神話の邪神が敵として登場するが、その殆どはクトゥルフ神話由来の毒気を抜かれ可愛くデフォルメしてある。

 その邪神達の愛らしい姿は、クトゥルフ神話に親しんだ身としては非常に新鮮に映った。

 同系統の先駆作品である『デモンベイン』シリーズよりも更にライトで、クトゥルフ神話を知らずとも全く問題はない。

 登場人物達も、頼り甲斐のあるナイスガイな主人公を始め、真面目一辺倒のライバルにツンデレ上司。自由なオペレーター三人娘とマッドな整備長に苦労性の司令……。

 テンプレである、何処までもテンプレである……。

 しかし全く問題は無い。表題にも記している通り、熱い展開のオンパレード。

 これ程までテンプレ設定を王道にまで昇華させている作品はそうそうお目に掛かれない。

 ロボット物のキモもきちんと押さえてあり、装備換装から変形、覚醒、目白押しである。

 尚、格闘ゲームに見識のある諸兄ならば、思わずニヤリとするフレーズがあることも申し添えておく。


 今作品はスーパーロボット物のテンプレに則った作品ではあるが、展開のバリエーションと描写の濃度のバランスがよく、爽やかなストーリーと相まって一気に飲み(読み)干す快感を味わえる。

 カラフルな登場人物・搭乗機体が溌剌と活躍する様は、差し詰めストロング系の酎ハイと言ったところか。


 クトゥルフ神話に影響を受けた作品は、読者を暗澹たる気分にさせるモノも多い。しかし偶には頭を空っぽにして、底抜けに明るい作品を楽しんでみたい時もある。今作はその様な場合に打ってつけの作品であろう。


 陽気な邪神達と飲み(読み)明かすのも悪くない……。