運命の二択。それが本当にあったなら――。

 人間の極限状態を描く作者様の真骨頂。シイナルートを拝読しました。
 穏やかな学校生活から始まる物語。そこで会うのは、人間だけではない。魔族の少女もそうだった。主人公はとある機体に憧れる少年。ちょっと意地悪な子がいたり、主人公に思いを寄せる女の子がいたり、本当に平穏な学校生活だった。
 しかし、主人公は憧れの機体・GENに乗り込むことになり、運命の二択を迫られる。GENの動力は何と、主人公の友人の魔族の少女だった。少女の命を消耗しながら、主人公は人間に脅威を与える存在へと、変貌させられていく。主人公が操縦する機体によって、踏みつぶされる人々。破壊される平穏。しかし、やらなければやられる。そして、少女の命も消費され続ける。
 そんな極限状態の中、主人公の友人たちが別の機体でGENを制圧にかかる。友人たちと殺し合うことになった主人公は、さらなる運命の分岐点に至る。自分を慕ってくれている友人を殺すか、魔族の少女と共に殺されるか。
 世界観、キャラクターの設定から、人間の業を描くことが想定された緻密な物語であると分かる。主人公が立たされる極限状態。
 あなたなら、どうする?
 葛藤の末に、見える結末に、果たして希望はあるのか――?

 是非、ご一読ください。

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