君の大切な人の命が削られるとしても、それでも君はそれに乗るのか!?



 2079年、人類は枯渇した化石燃料に代わって、あらたなエネルギー源を手に入れていた。
 『魔法石』。それは魔法族と呼ばれる人種を鉱石とする、画期的なエネルギーだった、人の命を消費するというデメリットに目をつぶれば。

 クラスで孤立しているアズマ・ライルは、人型巨大魔導兵器『ワイズローダ』のパイロットになることを夢見ていた。自分がパイロットになれば、きっとみんなが自分のことを大切に扱ってくれると信じて。


 とにかく、設定がエグイ。人間をエネルギー源として宇宙に進出し、人々の生活しを維持ている人類。そして、魔法力がある人類『魔法族』は家畜であると言い切る大人たち。

 複雑に事情により、たがいの利害の犠牲となって、伝説の魔導兵器GENに搭乗することになるライルだが、それは足元に多数の人間の屍を撒き散らして立つ、天使のような姿のワイズローダだった。

 巨大ロボット物。だが、本作は、正義のために戦う巨大人型兵器の物語ではない。どこまでも人の利害と差別、生命軽視の狡猾な知略に踊らされて、少年がもっとも大切な人の命を削り、そしてその照準レティクルが捉えるのは、やはり彼にとっては大切な人。

 ああ、この救いの無さ、悲しみ。ジレンマに悶え、苦渋のトリガーを引く主人公。

 もう最高です!


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