第476話 魔導伝説の終わり、そして始まる

自分達と魔神軍との戦いは何年にも及び、クローン達も大量に投入され戦いは激しさをましたが、何とか魔神軍の分体3体を封印する事が出来た。


しかも、魔神軍の力を吸収した【魔導眼】は劇的な進化を遂げ、遂には【次元干渉】、【時空属性】が使用可能になった。


これにより、あの計画も確実性が増した。


しかし、分体との戦いでほとんどのクローンは戦闘不能なレベルの傷を負ったので、今まともに戦えるのは自分とテレーザのみで、最後の魔神と戦うには戦力不足だった。


それにしても【雷帝】の正体がアイツで、しかもあの人に生まれ変わっていたのは想定外だった……そのせいで、俺は本気で殺しにいくことが出来ず、多くのクローンがやられてしまったのが悔やまれる。


しかも、【雷帝】は他の分体とは違い、圧倒的に強かった。


それも全ては魔神の正体があの神だったからだろう……。


クローンももっと作りたい気持ちはあったが、あの核となる【魔導石】の本質を知ってからは、確実な安全性が確認出来るまでは不用意に使うのは躊躇われる。




「レイ、そろそろ最終決戦ですね。まさか、こんなに長くこの時代に留まるとは思いませんでした」


テレーザが最終決戦を前にして自分に話しかけてきた。


「ああ……本当に長かった。それにもう僕達だけになっちゃったからね……テレーザ、この最終決戦が無事に終わったら話があるんだ」


昔はたくさんの研究者などがいたセントラルタワーも、自分達の戦いが天災規模になってしまったから、巻き込まない為に退去させた。


だからセントラルタワーに居るのは自分とテレーザだけになっていた。


まあ、その方が気兼ねなく戦えるだろう。


「ふふ、レイ。それは言っちゃいけないやつだったんじゃないんですか?」


「まあね……でも本当に言いたい事があるから」


この長い年月をかけて準備された計画は必ず魔神を封印出来るだろう。


しかし、この戦いが終わる頃には自分達は……


「わかったわ……」


テレーザも分かってるんだろうな、きっと……。




「レイ、今です!!」


「うん、【神核召喚】!!」


自分が【神核召喚】を使うと、天が硝子の様に割れ、その亀裂からは一人の漆黒なドレスを着た女性が現れる。


その女性は、この世界の神であるセフィーリア様である。


セフィーリア様はこの世界では絶対的な力を持ってはいるが、魔神とは制約違う関係で気軽に世界に干渉する事は出来ないでいた。


だから自分は、今まで貯めてきた【魔導】の大半を消費しセフィーリア様をこの次元に顕現させ、固定する。


「レイ、それにテレーザ。お疲れ様でした。あとは私に任せてください」


「……お願いします……」


僕はそこで意識を失う。




「テレーザ、本当に良いのですか?」


「はい、私にはレイが全てであり、レイの居ない世界は耐えられません。それにレイなら、私達の理想の結末を創ってくれると信じています。あとレイにはまだ叶えたい夢があります。その夢の一部に、私もなりたいのです」


「分かりました。テレーザにも本当に感謝しています。貴方はレイとは違い、普通の魂だったのに……これも愛というものの力でしょうか?」


「ふふ、そうです。レイ……そして深夜くんを愛しています」


「愛とは不思議なものですね……私も知りたくなりました。それではテレーザの魂は私と同格となり、私と共に神々を欺き、レイが覚醒して全てをしるまで、レイの為の新しい世界を支えていきましょう」


「はい、頑張りましょう!」





そして世界からテレーザの情報は全て消え、新しく世界はレイのために創り替えられた。

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ジョブホッパーの魔導譚 フェアリーP @wz754732011

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