踊れ踊れ、偽りと謀略の風に踊れ

 ぶっちゃけ、ややこしい話です。どきつい展開の冒頭から始まる世界観が実に独特で精緻、そして何人分もの張り巡らさられた策略が複雑で、話を頭の中で整理しながら読まないと人間関係と時系列がこんがらがると思います。
 しかし、それほどしっかりと組まれた独特な世界観は、所々で現実世界に通じるものがあって馴染みやすくもありますし、細部まで余すことなく物語に活かされていて、過不足がない。それに、何気なく出ていた人が後でふらっと出てきたり重要な役目を担っていたり、また一人一人の人生にもスポットライトが当たっていたりして、どの登場人物も最後まで存在感がある。不条理なじっくり世界を味わいながら読むだけの魅力がある、登場人物全員で紡がれた群像劇ではないでしょうか。

 どうでもいい話ですが、個人的にはリオ君が好きです。組織の長+強い+強く信じているものがあるのがいい。あと、ヘリスにはびっくりでした。ある意味一番の詐欺師じゃないの彼。