超短編にまとめられた愛憎劇!

南雲千歳(なぐも ちとせ)と申します。
僭越ながら、レビューを書かせて頂きます。

この作品のヒロインは、『最終兵器彼女』のヒロイン、或いは『風の谷のナウシカ』に登場する巨神兵のミニ版の様な、決戦兵器として作られた存在です。
容姿は年頃の少女らしいのですが、戦線に投入されるバーサーカー、単なる殺戮の徒です。

彼女は『艦これ』の艦娘とは違って、その戦闘力の強力さとコントロール不能性ゆえに、人間扱いされていません(そもそも人間では無いのですが)。
ゆえに、コントロールする側(主人公)は、時として、兵器である彼女を殺してでもコントロールを遂行し無ければなりません。

この作品においては、そんな戦いの道具として作られた少女、戦争と言う用途以外では無用の存在と、それをコントロールする側との、エッジの利いた悲哀が描かれています。

そして、彼らの至ったラスト──。

この辺りは、化物語シリーズで有名な西尾維新の『刀語』のラストなども彷彿とさせるものでしょう。

超短編の1,200字と言う制限の元では、どうしても何らかの描写を削らねばなりませんので、出会いからラストに至るまでの過程が書かれてい無いのが残念ですが、そんな哀しい出会いの結末をワンシーンで描いたと言う点で、秀逸であると感じました。

※個人的な感想としては、もっとSFチックな世界観の方が受けるのではと思いました。


作者の七咲リンドウさんの次回作に期待しております。

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