ポップでキュートに逸脱する青春コメディの傑作

友人から「面白いからおすすめしたいんだけど、私がすすめたって言わないで」と妙な紹介の仕方をされて試しに第一話を読んだが最後、はちゃめちゃなスピード感で押し寄せてくる面白さに屈服し一気読みしました。とにかくすごく笑ったし、主人公の二人が超かわいいし、予想もできないジェットコースターのような展開に最後まで振り回されました。
息もつかせぬ笑いのセンスもさることながら、展開と構成で読ませる手腕とセンスがすごい。主人公のモノローグ主体で会話文も多いというカジュアルな文体ながら、作中で描写されるキャラクターの動きや騒動の顛末は過不足ない描写量で、そのうえ登場人物までどんどん増えていくのに全然破綻しない。さらっと書いているように見えて、これは作者様の確かな実力と懐の広さがなければここまで面白い作品にはならなかったでしょう。
みんなおバカでみんな魅力的に見えるのは言動がブレてないからで、終始コメディに徹しつつもそういう生きてる人間と人間を描くという大前提を崩さず抑えてる上手さに脱帽です。

噛み合わないようでいてちゃんと通じ合ってる二人。もうググらなくても、この先は話して解決できるから大丈夫。青春ってきっとおバカなほど輝くんだなと思いました。

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