「旅」という看板を掲げた不思議な喫茶店に踏み入れた主人公は、気がつくと26年前の1994年にタイムスリップしていました。そこで出会う人々を通して、彼はさまざまなことに気付き、成長していきます。
まず、最初に出会うのが美沙というヒロイン。彼女は、どこかミステリアスだけど、明るく元気で可愛らしい少女です。主人公と美沙がしだいに距離を縮めていく様子が甘々で、読んでいて和やかな気持ちになりました。
また、印象的だったのが、若かりし頃の自分の家族と出会う場面でした。自分がまだ生まれていない頃の家族と出会う主人公。嬉しさ半分戸惑い半分の心情が丁寧に描写されていて、主人公に思いを重ねつつ、私だったらどうするだろうと想像しながら読んでいました。
甘くて、どこか切なくて、そしてとても温かい物語。
過去に来て、時に迷いながらも未来を見て進んでいく。そんな主人公を応援したくなる作品です。
2020年、京都嵐山。誘われるように入店した喫茶店『旅』。メニューの1つである「おふくろの味」を注文した主人公・ケンタロウは1994年にタイムスリップしてしまう。タイムスリップによって放り込まれた頼るつてのない世界。そこで美沙と名乗る同い年(18歳)の不思議な女の子と出会う。美沙の家に拾われる格好となったケンタロウはアルバイトを始め、多くの人々と心の交流をするなど、その世界で強く生きていく。さらに時を経るごとに美沙との間に特別な感情が募り、時空の狭間で彼の心は揺れ動くことにーー。
古都の趣や、1994年のノスタルジックな雰囲気が魅力的です。2020年との時代を繋ぐのは喫茶店で、そこには時代左右されない仕事が今も昔も存在しています。
相手のことを真摯に思い、丁寧に仕事をすること。
それは作品全体を貫く優しい世界観して物語の核になっており、読み手の心を揺さぶります。
本作はまだ連載途中です。この時間旅行はどのような結末を迎えるのか? 完結のその時まで、登場人物たちと一緒に旅を続けたいと思います。
最新41話まで拝読させて頂いてのレビューです。
舞台は旅情あふれる京都嵐山。不思議な喫茶店との出会いにより過去にタイムスリップした少年が、様々な人との出会いや触れ合いの中で自分と向き合い成長していく青春ストーリーです。
淡く切なく儚くて、だけど強く明るく前向きで。時空の狭間で揺れ動く主人公の心の機微が、古都の美しい景観に彩られ繊細且つ叙情豊かな心理描写で綴られています。
優しい世界観と人間模様でほっこり癒してくれるのが魅力。そこに描かれているのは、時空を越えた恋と家族のキズナ。切なさと優しさが入り混じり、胸を打ちます。自分は学生時代に京都で過ごしていたこともあり、過ぎ去りし日々を重ねながらノスタルジックな感傷に浸る事もできました。
取り戻せない過去を持つ人すべてを優しく救ってくれる小説です。この物語を多くの人へ伝えたい。ケンタロウくんの旅路の行方を、引き続き見届けさせて頂きます。
物語を拝読させて頂きながら感じ取るカケラの数々。
それは時に幸せ色のカケラであり、時には切なさに彩られた繊細な色。
懐かしい想いと、通り過ぎた日常の中の、忘れてしまった些細な温もり。
作者さまが紡がれます、言葉のひとつひとつが温かく、物語を読み進めていく中で心の中に染み込んでくる心地よさ。
それは何処かの喫茶店の窓際。
窓越しの陽だまりに包まれて、自由の中でくつろぐひと時によく似ています。
不思議な喫茶店。
珈琲をきっかけに、過去の世界を旅することになったなら。
あなたが抱く想いは希望でしょうか?
不安に包まれる中、助けてくれる誰かに出会えた時の、ほっとした気持ちと同時に、生まれるワクワクした想い。
不思議な喫茶店。
作者さまが紡がれます、優しい言葉の魔法。
心地よさに包まれる、【幸せなひと時】という旅の道にようこそ‼︎
京都嵐山、『旅』という名の喫茶店。
趣を感じる店内。
引き寄せられたのは、
お店の魅力だけではなく、
不思議なエネルギーが働いたのではないでしょうか。
現れた三つのメニューは、
神秘的で、
不思議な店員との会話に。
いつの間にか、もうこの世界に、
惹き込まれてしまいます。
この出来事は意味がある。
ケンタロウは、次第に状況を掴みながら、
慎重に行動して行きます。
時折思い出す、昔聞いた母の言葉。
おじいちゃんの言葉。
ケンタロウが、立ち止まり、振り返る時、
思い出すのが、家族のかけてくれた言葉であること。
ふと胸が温かくなります。
出来事を通して、ケンタロウは、
普段見えなかった場所から、新たに、
家族を見返すことが出来ているような気がします。
それは、きっと貴重な機会です。
美沙との信頼も、心掴まれます。
2011年、心に残る人も多いと思います。
自分もその一人。
過去に行き、
家族と会えたら、どんなことをするでしょう。
どんな言葉を交わすでしょう。
時を旅し、明るい美沙と過ごしながら。
心に問いかけられるようです。
賢太朗と美沙、
そして、二人の母。
母の言葉が、聞こえてきます。
『旅』
は、思わぬ展開へ。
人生に迷った時、読み返したいと思う言葉が、
書かれています。
この小説はまだ未完である。
だが読者のひとりとして、ラストに向けてもっと多くの人に読んで欲しいという思いは強くある。
少し長くなるが書かせていただく。
この作品は、喫茶店に入った高校生の少年賢太朗が、突然、1994年の故郷にタイムスリップして、和菓子屋を営む祖父母や両親、美沙という少女に出会うひと夏の青春模様である。
タイムスリップのジャンルの作品など、うんざりほどある。 ライト小説の定番といってよいだろう。
だかあえて言う。
この作品の主人公は、タイムスリップしなければいけなかったのだ。
すでに他界した母親。なつかしい気持ちはあるものの、必ずしもよい印象ばかりではない。
タイムスリップした先で主人公の少年は、はからずも若き日の母親と出会う。
それは自分の知っている母親ではない。
祖父を慕いながらもささいな行き違いからよそよそしい関係となっている。なんとかしたいと思いながら一歩、前に進めないまま、若い日々を過ごす母親の姿。
それは家庭を持ち、自分に厳しく接していた母親とは違う。
身近になった母親への新たな愛慕。慟哭・・・
だれもが通る青春。
今の自分の姿を現実で見た時、
「青春を過ごしたあの時、こうすればよかった」
と思いながら結局、どうすることもできないまま過ぎ去った日々をなつかしむしかできない。
苦い現実。
それでもあの頃の自分に戻れたら・・・
もしかしたら・・・
今の自分のそばで、自分の辿った年齢を生きている子どもたちの思いを、もっと正面から理解し受け止めることができたかもしれない・・・
この小説は、今を生きる私たちの涙腺を刺激する「さわやかな夢物語」である。
そしてタイムスリップという非日常的な出来事を通じて、真剣に恋や青春に立ち向かう少年の「さわやかな青春小説」である。
作者の作品には、青春に真正面から向き合った真摯な姿勢が流れており、ひたむきに生きる若者たちの姿が大きな感動を呼び起こしてくれる。
今、若い人も・・・
昔、若かった人も・・・
ぜひ青春して欲しい。
この小説を読んで欲しいと思う。
旅先で、まるで自分を待っていてくれたかのように佇む喫茶店に出会ったことはありませんか?
これは、そんな喫茶店のような物語です。
京都嵐山に住む高校三年生の賢太朗は、「旅」という名の喫茶店で飲んだ一杯の珈琲をきっかけに、2020年から1994年へとタイムスリップします。
自分が生まれる八年前の世界で賢太朗が見つけた大切なものとは……。
過去の世界で賢太朗は、美沙という不思議な少女に救われ、彼女の輝くような明るさと優しさに惹かれてゆきます。
そして過去の人々との優しい暮らしが、賢太朗の心を癒やし、自分自身を見つめなおす助けとなってくれるのでした。
人は一人では生きられない。
わたしたちは今、そんな単純で愛おしい真実が分かりにくい時代に生きています。
この作品を通じて、自分は誰の為にどこに行きたいのかと改めて考えるきっかけを貰えました。
連載中ですが、素敵に居心地の良い雰囲気を味わえます。
是非お立ち寄りください。