言葉052026

 ひとつひとつの葉っぱは大きさを変え、しかし根源は日光に向かって伸びる一本の樹である。結局のところ私は日本人で、仮に何かの拍子で口から響きの良い異なる言語を発したところで、それは本当に伝えるべきことを言い表せない。しかし使い慣れた千年を揺らぐコミュニケーションツールの何れかの索引に由って、私がそれを表せるかと謂われれば土台無理な話なのである。何故なら私は常にその尖端を踏みしめ、千年の澱に私という存在が介入する余地など無いからである。結果私は一意性制約の中の50色の絵の具を以て、渇いた自画像を書くのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

和音 ヨシビロコウ @ys-renzo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ