界変のアルテントロピー《The World Advance》

作者 芳蓮蔵

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★★★ Excellent!!!

※ネタバレなし

小説に関する質量保存の法則がある。その規則に対して非常に厳しいのがSF。そのルールから外れると一気に温度は下がり、しかも不可逆的にストーリーは色を失っていく。
そのギリギリの中で描かれたSFほど面白く、それがこの小説である。
限られた空間の中で跳ね回る粒子。それが主人公たち。

系という概念を用いると、読み手はこの世界からはまさに無縁。
ゆえに観察者としては最高の立ち位置。

どこか遠くの爆発を、まるでそこにいるかのように見ることができ、その迫力を味わうことができる。

それが顔も知らないあなたである。

★★★ Excellent!!!

ネタバレなしに魅力を書くのは厳しいのでこのタイトルに
作品中に違う世界に行くというのは結構ある展開ですがその場合大した描写はなかったり世界観はあまり感じない事が多いです
ですがこの作品の場合はその世界一つて作品になるんじゃないかなという出来栄えで読み応えがあります
更新が入るたびに世界が広がっていく、そんな作品です

★★★ Excellent!!!

 転生・転移ものがそれほど得意ではない私ですが、そのジャンルでは珍しく新話の公開を心待ちにしている作品です。これまで別サイトも含めて数十の作品へレビューを書きましたが、そのスタイルを崩して冒頭から「押し」であることをお伝えしたいと思います。

 お話の主要な構成は、所謂「転生・転移者狩り」に分類されるのでしょう。しかし、その一言で言い切れない面白さを醸し出しているのが、この物語です。その特徴は何と言っても設定の「濃厚さ」と「安定性」でしょう。最早SFだけでやって行けるほどに練り上げられている世界設定。そんな世界で活躍するのは、明確な目的を持った主人公達です。えてして行動目的が曖昧になりがちなこの手の物語にあって、明確な目的を持って行動する主人公達。時に葛藤を見せ、時に冷然とした決断を見せる、そんな彼等の魅力は盤石な世界設定があって「こそ」のものでしょう。

 物語は極めて読みやすく、分かり易い表現で進行していきます。読解力の程度に依るでしょうが、まず地の文で詰まることは無いと言い切れます。何度も何度も練り直し、推敲を繰り返した文章だろうと、同好の者として頭が下がる思いです。

 しかし、少し心配な部分もあります。お勧めするからには、この部分にも触れなければならないでしょう。それは、分かり易い設定と平板なストーリーの流れ、判で押したような変わり映えの無い「ありきたり」なWEB小説に慣れきった方には少し刺激が強いかも知れない、というものです。誤解とお叱りを怖れずに敢えて言うならば、第一話の冒頭に置かれたこの世界をざっと説明する年表と聞き慣れない幾つかの用語に、読むのを止めてしまう方も居るかもしれません。

 しかし、それは実に勿体無いことなのです。冒頭の年表や設定、用語などは「第一話に書いてあったな」程度に覚えていればいいのです(気になったら戻って確認すればいいだけのことです… 続きを読む