この環境で合成されうる、最高の物語

※ネタバレなし

小説に関する質量保存の法則がある。その規則に対して非常に厳しいのがSF。そのルールから外れると一気に温度は下がり、しかも不可逆的にストーリーは色を失っていく。
そのギリギリの中で描かれたSFほど面白く、それがこの小説である。
限られた空間の中で跳ね回る粒子。それが主人公たち。

系という概念を用いると、読み手はこの世界からはまさに無縁。
ゆえに観察者としては最高の立ち位置。

どこか遠くの爆発を、まるでそこにいるかのように見ることができ、その迫力を味わうことができる。

それが顔も知らないあなたである。

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