この環境で合成されうる、最高の物語
- ★★★ Excellent!!!
※ネタバレなし
小説に関する質量保存の法則がある。その規則に対して非常に厳しいのがSF。そのルールから外れると一気に温度は下がり、しかも不可逆的にストーリーは色を失っていく。
そのギリギリの中で描かれたSFほど面白く、それがこの小説である。
限られた空間の中で跳ね回る粒子。それが主人公たち。
系という概念を用いると、読み手はこの世界からはまさに無縁。
ゆえに観察者としては最高の立ち位置。
どこか遠くの爆発を、まるでそこにいるかのように見ることができ、その迫力を味わうことができる。
それが顔も知らないあなたである。