お前は星野源じゃない

SNSにしか君はいないの


笑顔の作り方が一種類しかないのか


新人ちゃんとお前が言うな


テレビの同じタイミングで笑う隣人がいる夜


振り返る表情が色を失い僕を見る


僕はいいんで他の人にあげて下さい


好きだったバンドのCDを隠した


本気でいいと思ってた訳じゃないから叩き台だから


駅でいつもいる人がいなかった


お前は星野源じゃない


それでも履きたかったんだろう靴どしゃ降りの中


出かけても戻る誰もいない家


溜息をつく駐車場の足立ナンバー


女子はさあと声高らか四十過ぎ


顔を洗った記憶今日のものか


なるほど風になりたいを歌うのか


同じ苗字の別人さえ嫌いになりそうになる


こどものポスターの横に政権批判


俺は今から塾だから遊ぶ相手いないわけじゃないから


友人の家で受け取るバレンタインを見守る


ウッチャンナンチャンのウッチャンと同い年なんだよと言う初対面の中年


一言多いんだよをまた飲み込んだ


ここも接骨院になったのか


ママチャリ占拠する午後のイタリアン


ハイタッチする人しない人の線引きはなんだ


的外れだと言う空気を出すな


猫が生きてるまだやれる

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私的自由律俳句集 いりやはるか @iriharu86

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