英語でブラッドバレットバーサスと書かれても意味がピンと来ない。カタカナでもピンと来ないが、英語表示の時は、西洋かぶれの浮わついたラブロマンス物なんだろう、と早合点していた。
そうじゃなかったんだなあ。
転生物のライトノベルとしては良品の部類ではなかろうか。
軽快なテンポで展開するし、程々に感情移入も出来る。
転生物を読み慣れない私でも十分に楽しめました。私は専ら歴史物を中心にハードノベルっぽい作品を読み渡っているのですが、そんな人間でも楽しめます。だからこそ、良品の部類と推察した次第。
ただ、主人公の使う「ワシ」の自称だけは違和感を覚えたかな。文脈から推測するに三十路前だと思うが、老年の設定だったんだろうか。
初めの方で、この作品を読まないとするならば大きな間違いである。
この物語は、ごく自然に展開を見せる。最後はもう終わりなのかとさえ思える。
初めの設定から読者側も無理なく、左程の矛盾もなく主人公に、自分を重ねながら
同じ様に旅ができる。物語には人としての大事な部分も多く描かれている。
ただ、現実は物語とは行かない主人公のように選ばれし者ではない。
決して死後の世界が良いと思わせる描写ではないところも大切な事だ。
だから今を一生懸命に大切に生きていこうと言う風に考えさせてくれる。
この事は、物語を伝える側にとって本当に大事なことと最近は思える。
日本は、かなり古くから死を美化する傾向があるように思える。
話としては輪廻転生も死後に愛が成就するかのような文化的背景によって
悲劇的な結末でさえ、後に理想的で希望的な未来を予測する。
物語の中で死を良いものとする事は好ましいとは思えない例え空想であっても。
そう言う観点ではいい作品であると自分は思います。
かっこいいです。爽快です。痛快です。痛快という言葉がしっくり来ます。
極道に生き、そして殉じた龍之介は女神セレスヴィルによって異世界に喚ばれます。「偉業を成しましょう」とフランクに誘ってくる女神ですが、その世界では龍之介をはじめとするどこかの世界で偉業を成し遂げた存在を「シュヴァリエ」として召喚するシステムがありました。シュヴァリエは彼らを呼び出した主人こと「マジェスティ」の願いのために生きる。それを女神はゲームと称して龍之介を送り出します。
様々なシュヴァリエが出てきますが、龍之介の言葉が熱く、真っ直ぐで男気があり、ストレートだからこそ燃えるものがあります。龍之介と彼のマジェスティ・ヘタとの関係性も王道でありながら成長を見届けたくなるいいコンビだと感じます。自分に自信が持てず逃げ出す癖があったヘタが、筋を通す男である龍之介と出会う。そこから広がる物語が爽快かつ痛快に描かれていき、熱いドラマを見られた! と読後感も良い素敵なお話だと思います。
本作で目を見張るもの、それは、圧倒的な必然性ではないかと感じました。
何故今、この地に、この人物が転生し、どうしてこの闘いが起き、この結果になったのか。読み進めるうちに、それら全てに納得がいく。
読み易いのに、迷いのない文章で、その答えへと導いてくれる展開は、まさに、主人公の一貫した信念そのもののように思いました。
そして、もう一つ感心したのが、本作に登場する全ての人物に何かしらの意味があること。
敵も味方も関係なく、この者と敵対したから得たものがあり、この人と関われたことにより変われたものがある。
一人として無駄な出会いがないのです。
さらには、敵でさえ、絶対悪とは言えず、悪となってしまった背景に、ともすれば共感してしまいそうな自分を、主人公が曲がらない主張で対峙していく姿には、人として惹きつけられるものがあります。
一つ、読めない点をあげるなら、笑いの要素。そこそこシリアスなシーンで唐突に笑わせてくれる。何故ここで? と突っ込まずにはいられないのに笑ってしまう。
でも実は、その内容が後の重要場面への布石だったりするのです。
それが分かった時には、もうお見事としか言いようがありません。
作者視点で見れば、非常に綿密なプロットを作り上げてからの執筆だったのだろうと感心しきりです。
ですが、一人の読者としては、あっという間にこの世界に入り込み、主人公たちと一緒に笑って、泣いて、成長していくような感覚を味わうことができます。
非常に面白く、得るものの多い作品だと思いました。
『そうなるべくして、そうなった』主人公たちの必然性に彩られた人生の一部を、共に追体験してみてはいかがでしょうか。
1部の10話まで読みました。
設定も凝っていて、とても面白かったです。
1番印象的だったのは人の気持ちを大事にしているな、という所でした。
各々の心情が描写され、それが対になる展開にとても引き込まれました。
戦闘シーンは少し複雑でしたが、塵芥の攻略法は読んでいてとても感心しました。
少し違うかも知れませんが、塵芥の条件である力を伝える、という所を逆に利用し、技を相殺する事でその反動で塵芥の力が自身に伝わってしまい、塵芥が自身に発動してしまった、という解釈で宜しいでしょうか?
とても考え込まれた戦闘シーンだと思いました。
本当に面白かったです。
時間がある時、是非続きも読ませていただきます。