第4話 その者は忍びなり!


「何を思い出したのラウノ?」

『実は、ボクの足で此処から1日って場所に山賊が出る街道があるんだ』



ほうほう!拙者は山賊退治をするのじゃな?



「それで?」

『そこの山賊が、何でか知らないんだけどね、

         間抜けで山賊もまともに出来ない奴等なんだよね!』


「何その、間抜けな山賊達は?」

『話を聞くだけでも弱そうな連中でしょ?でもね!

             悪い商人や悪い役人とかは襲うんだって!』


そ奴等は義賊なのか?



「へ~~悪い事してる奴だけを襲うんだ!何で悪い奴って解るの?」

『それがね!何でも山賊の頭が物凄く頭が良くて、あっちこっちの町や村に

 仲間が居るそうなんだよ。その仲間が山賊の頭に情報を教えてるんだって!』


それって、もしかして!忍ではないのか?


「何って名前の山賊達なの?」

『あじむにんぐん?とか言うらしいよ!』



何ぃ~!それは拙者の身内でござる!



「あじむにんぐんって山賊なのね?」

『うん!あじむにんぐんを倒そうか!』



おい!拙者の話を聞いておるか?安心院あじむ忍軍って

         安心院五郎丸あじむごろうまるが頭領じゃぞ。お主等では、瞬殺されるぞ!


「よし!私の霧魔法で、撹乱した後に統幸が奇襲したら勝てるわね。」

『それならボクが、旦那を乗せて空から突撃するよ!』


「あら~ラウノったら戦いは嫌では無かったの?」

『ボクは、負け戦ではなかったら大丈夫!』



安心院五郎丸は、飯母呂いぼろ一族の出じゃぞ!勝てないから止めておけ!



「ラウノ道案内を頼めるかしら?」

『うん!ボクの足で1日の距離だからね!楽勝だよ。』



おぉ~い!盛り上がってる所ですまんのじゃが!聞こえておるか?

「統幸!どうしたの?」

『統幸の旦那!話は決まったから行きましょう。』


ちょっと待てぇ~!はい....そこで2人とも正座じゃ!

「へっ?」

『旦那どうしたの?』


良いから正座するのじゃ.....拙者が怒る前に座れ!

≪う...うん....≫


お主等が忍びに戦いを挑むなど、片腹痛いわ!如何様いかようにお主達が戦うかは

知らぬが、忍びを甘く見るでないわ!直ぐに屍をさらす事になる。後、

安心院五郎丸は同じ主君に仕えた者じゃ、拙者が頼めば良きに計らってくれるわ。


「すいませんでした。」

『旦那ごめんね。』


解れば良いのじゃ!あんずるな、見知った中であるから戦いにはならぬ!

いざ、安心院五郎丸の元へ参ろうか!

≪は~い!≫


「足が痺れた....嫌だ立てないよ.....きやぁ~」

『うわぁ~こっちに来ないでよ!』







┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




{安心院忍軍が潜伏している街道沿いにて}


ラウノ此処で間違いはないのじゃな?

『うん、この場所に山賊が出るって噂だよ!』

「空の上から山賊が出るのを待ってましょ。」



{それから30分後}



「商人らしき人が着たわよ!」

『幌馬車が2台に騎馬が4頭いるね!』

うむ!様子を見るのじゃぞ!


「あっ!アレじゃないの?」

『何処?ボクは飛んでいる時は、あんまり下が見えないんだよ!』

あれじゃな!ラウノまだ空中で待機じゃぞ!


『わかった!』

「うわぁ~!何よ~あの出鱈目でたらめな速さは?」

忍びに何故勝てないかが解ったか?


「うん...何となくね。」

忍びは、とにかく素早いのが特徴なのじゃ!

『ボクも見たいよ...』



{商人を襲撃してから5分後}



誰も殺してないのか?凄い早業じゃな!

「あいつら帰って行くわよ。」

『よし!追いかけよう。』


険しい山に入っているな、2つ先に大きな山が見えるが、あそこがねぐらじゃな?

「大きな山ね!」

『あの山は、確か.....なんだったかな?』


洞窟に入って行ってるぞ!ラウノ近くに降ろしてくれ!

『は~い』

「降りると同時に、霧を発生させた方が良いかな?」


霧はまだ入らぬ!相手が警戒したら話し合いも出来ぬ!

「霧が必要な時は言ってよね。」


うむ!ラウノとエリーカは此処で待機してるのじゃぞ!

「えっ1人で行くの?」

『旦那!危ないよボクも行くよ。』


お主等は、足音を消せぬであろうが?駄目じゃ!

「足音って消せるの?」

『ボク何って、パッカパッカ言うね!』



{2人をその場に残して、統幸は洞窟に忍び寄った}



こう言う洞窟は、空気穴があるはずじゃから、まずは穴を探すか!

安心院の里で、忍びの技を身に付けて置いて良かったわい!


コソコソ!コソコソ!


此処じゃな!どれどれ?この小さな穴を掘れば....やはりそうじゃ!

人一人が入れる穴になっている!もしもの時の脱出通路にもなる

空気穴じゃわい!入り口を木の枝で隠さないと、直ぐにばれるだろうな!


これで良し!後は、奥に進むか!


ゴソゴソ!ゴソゴソ!


んっ!明かりが見えるの!此処じゃな?



{統幸が見た場所は、洞窟で広くなっている場所だった}



おっ五郎丸が居るの!何じゃ?五郎丸より偉そうな奴がいるの?


五郎丸が蹴られた?何でじゃ?化け物みたいに醜い面じゃの!



五郎丸が必死に何か言っておるの?......息子をか...え....せ....

アヤツ、息子を人質に捕られているのか!この空気穴ならば隅々まで掘ってある

じゃろうから、牢屋まで繋がっていよう!待っておれよ五郎丸、そち悔しさ拙者が

晴らしてくれようぞ!同じ大友家家臣の中じゃ!見捨てはせんぞ.....


此処は台所か.....もっと奥じゃな!安心院一族が掘った穴ならば、牢は一番奥に作る

はずじゃろうてな!......こ.....腰に来るの......五郎丸の為じゃ!しばし待とれよ。

牢屋じゃ!やっと見つけたぞ!


見張りは2人か.....殺れるな!早く隙を見せよ......


見張りの1人が厠に行ったか、今じゃ!


スタッ......統幸は土壁を静に崩すと静に地面に降り立ったのである

そして、忍び足で敵の背後に忍び寄り、脇の下から心の蔵目掛けて

小刀を突き立てていた.....


悪いが友の為に死ね!


静に!大友家家臣・吉弘統幸じゃ!安心院五郎丸の子は居るか?


そちが五郎丸の子じゃな?.....そちを助けに参った!


そちの年は幾つじゃ?12歳か!後3年で元服じゃな!烏帽子親になってやるぞ!


えっ....烏帽子親は決まってる.....そうか......それならば良いのじゃ......


気にするな!拙者は大丈夫じゃぞ!


そちも大友家家臣の子じゃ!武家の心得はあろうな?


鉄砲と手裏剣が得意なのか!ならば武器庫は何処じゃ?


んっ!着いて来てくれと.....解った!


おっっと!ザッシュ!危なかったな!無理はするでないぞ。


あの部屋がそうか?見張りは2人じゃぞ?投げ小刀を貸して欲しいじゃと?


ほれ!此れしかないが、構わないか?


シュ!シュ!おぉ~!見事なり!中々の腕前じゃな!


鍵が掛かっているな.....開かぬ....ぶち壊してくれるわ!


えっ!開けれる?面目ない.....んっ!開いたって早いな?


そち達、戦の準備じゃ!父上達を助け出すぞ!


いざ!合戦じゃ!!!!!



どっか~!敵の雑兵ぞうひょうを蹴り飛ばす統幸!


大友家家臣・吉弘統幸参上せり!


いざ尋常に勝負じゃ~悪党共!




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