第11話 人質救出作戦!


茂吉!茂吉はおるか?


〔此処に控えております!〕


茂吉に頼みがある!洞窟から街道に出るまでに、

          待ち伏せできる場所を探しておくのじゃ!


〔はっ!畏まりました!〕


ゆけぇ!



茂吉は統幸からの主命を受けると、直ぐに場所探しに赴いていた。

統幸は、人質を救出する場所を洞窟ではなく、洞窟の外と決めていた!

何故ならば、洞窟には攻め込んでも人質を盾にされたら、お手上げである

そうならない様に、人質が外に運び出されるまで、待つしかないのだった。


洞窟の中に何人かの手下を潜伏させて、洞窟の中で撹乱させて外に誘き出す

それが統幸が考えた救出作戦である!


待ち伏せ場所には、穴を掘っており身動きが出来ない様に、罠を張り巡らせる

予定でもある!穴は直ぐに掘れる深さだ。膝の深さまで掘れば十分、掘った穴

の中に杭を立てて、先を削れば立派な罠になるのだ。


罠で身動きが取れない敵を弓と鉄砲で、狙撃するだけで敵の戦力は半減する

その後にでも、降伏勧告でもすれば、直ぐに決着が着くだろう!


洞窟の空気穴を探すのに1日、罠を作るのに1日、待ち伏せ場所を探すのに1日

3日もあれば、全ての準備が整う予定で動いていた。


ハイエルフに擬装を施し方を教えないと悪い!待ち伏せには擬装しないと直ぐに

敵にばれてしまう可能性があるのだ!擬装に割ける人員は......居ない!

統幸が直々に教えるしかなさそうである!




......................................................




{集落の広場にて擬装を教えている}


皆の者!良く聞くのじゃぞ!擬装とはな、戦場となる場所に生えている草や木を

体や鎧などに付ける事を言うのじゃ!これをしてないと、待ち伏せなど直ぐに見つかるからじゃ!顔にドロとかも塗っておけ!そうすれば目立たぬ!


まずは拙者が、見本を見せるから確りと学んでくれ!先ずは草じゃ!草を根元から切って、それから胸元や背中に草を付けるのじゃ!それとか木の枝でも好いぞ!

目立たなくなれば好いのじゃからな。



どうじゃ!此れで拙者は隠れるから、隠れ終わった後に探してみよ!


【見付けるのは簡単だろう?・直ぐに見つかるさ!・そうだな!】



{1時間後}



見付けてくれないから、拙者が出てきたぞ!


【何処に居たのですか?】


土の中じゃぞ?解らぬ様に土を掘ってから、窪地に嵌っておったのじゃ!


【はまっていた?大人が1人だけ入れる穴を掘ったのですか?】


そうじゃぞ!敵の追跡を交わす時とかに、向いておるぞ!


【なんと!考えもしなかった.....】


この戦術を身に付けよ!


≪はっ!≫




......................................................




{待ち伏せ場所にて}



どうじゃ?穴は掘れたか?


〔はっ!罠は完成しておりまする!〕


ハイエルフ達にも罠の場所を教えておくのじゃぞ!


〔畏まりました!〕


それで、逃げ道は何処にしたのじゃ?


〔この窪地を逃げ道にしております!〕


逃げ道の先には、ちゃんと仕掛けたのか?


〔抜かりなく!〕


ご苦労じゃったな!ゆっくり休んでおれ!


〔はっ!〕




......................................................




{救出作戦の前日}


五郎丸!空気穴は見つかったか?


[はっ!抜かりなく。]


何人位で洞窟の中を撹乱するのじゃ?


[鉄砲10丁9人、鉄砲組荷駄5人、鉄砲小頭1人になりまする!]


16人だけで大丈夫なのか?


[狭い洞窟なので、3列で三段構えをすれば敵は崩れましょう!]


鉄砲組荷駄には何を持たせる?


[苦無と手裏剣になりまする!鉄砲小頭には鉄砲を1丁持たせますぞ!]


鉄砲小頭は誰がするのじゃ?


[茂吉の従姉妹の佐吉がいたしますぞ!]


佐吉に無理はせぬ様にと伝えよ!


[はっ!]


明日の明け方、寅の三刻朝の5時に奇襲する!


[畏まりました!全軍に伝えますぞ!]


頼んだぞ!




......................................................




{寅の三刻}


朝の静けさの中に鉄砲の炸裂する音が鳴り響いた!合戦の始まりの

合図である!それぞれ緊張をしている!初めての合戦の者が大半で

あるから仕方ない、何度も死線を超えてきた者でないと、慣れない

であろう!


佐吉達、鉄砲組が上手く敵を洞窟から追い出して来たようだ!続々と

此方にやってくる音が聞こえている!慌てているのか、声を荒げながら

歩いている者が大半であった。こちら以上に実戦経験がないようである!


そんな時は、指揮する者の力量で勝敗が別れたのだ!そして此方の

ハイエルフ達を指揮するのは統幸である!指揮官が戦の経験が無い者

ならば、まずは勝てないであろう?


最初に罠に掛かったのは、隊から離れて逃げようとした者達である。

落とし穴に嵌まり、動けなくなった所に、長槍で突かれて絶命した!

その次に犠牲になったのが、先頭を急いでいた集団である!

後続を待たずに、我先に行っては、包囲してくださいと言ってるような物だ


段々と数を減らす魔者達である!現状をようやく理解した指揮官は、部下を

纏まるように言っているが、既に手遅れである!何故ならば残り15人しか

残ってないからである!まともに抵抗も出来ないであろう。


最後は、完全に包囲されながら追い込まれていた。最後の生き乗りをかけて

逃げた先に罠があるとも知らずに.....逃げていた!そして~みんな仲良く穴に

落ちていったのである!それも油が貯まった穴であった。


穴の深さは3mはあろうか?大人でも登れない深さである!登ったとしても

上で待ち構えてるのだから、逃げ出せなかった!完全に終りである。


勝鬨じゃ~!


≪えい・えい・お~!!!えい・えい・お~!!!えい・えい・お~!!!≫



勝鬨が洞窟の中まで、響き渡った時に敵の指揮官は、絶望の顔になった。

もう殺されるしか無いからである!それも捕えていた者達の手によってだ

この者達が、集落の者達に酷い事をしていないなら、助かる可能性もあるが

そうでは無いであろう!因果応報この言葉が、この指揮官には良く似合う言葉

であったであろう!



裁きの時間じゃ!観念せい!

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