天地始之事─隠れキリシタンの手作り聖書─

作者 ハコ

秘めてこそ。それが信仰の第一義だった人々は、神にどんな救いを求めたか。

  • ★★★ Excellent!!!

カクヨムは翻訳案件のオープンソース化に適している。
と、個人的に考えている。
実際にやってみた感想だ。

古文書や外国語から現代日本語に翻訳して、公開する。
個人サイトでは手の掛かる作業が、カクヨムでは早い。
検索にもヒットしやすく、多方面からの関心を集める。

本作は、長崎の隠れキリシタンに伝わる独自の聖書を、
注釈をつけながら現代日本語に翻訳したものである。
日本的な仏教と混じり合った独特の物語が興味深い。

五島列島・福江島の堂崎天主堂の地獄絵を思い出した。
堂崎天主堂には禁教時代の資料が多数展示されており、
キリスト教とも仏教ともつかない「何か」に出会える。

私の父方の実家は、五島列島の隠れキリシタンである。
父も子供の頃は隠れキリシタンの儀式に参加していた。
その集落では信仰の隠れ蓑は仏教ではなく神道だった。

隠れキリシタンは元来、信仰の証拠を残さないために
文字資料を持たずに口伝のみに頼るとされているから、
過疎によって消滅した祝詞や説話は既にたくさんある。

そんな状況の中、こうして現存する『天地始之事』は、
歴史的な価値、民俗学的な価値が非常に高いと言える。
それをこうして現代日本語訳して頂けるとは有り難い。

2018年6月30日、世界遺産に登録された教会と集落の
すぐ近くで生れ育った、潜伏キリシタンの子孫として。
勉強すべき事柄への道標を頂き、本当に感謝致します。

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