天地始之事─隠れキリシタンの手作り聖書─

作者 ハコ

30

11人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★ Very Good!!


 てっきり「この世界は間違った世界だ、もうすぐ神によって滅ぼされ、楽園になるんだ」という、「ハルマゲドン思想」が書いてあると思ったのです。
 初期のキリスト教がそうであったように、迫害されて被害者意識が強くなると、世の中を憎むものですから。

 でも、ハルマゲドン思想ないですね?
 おどろきです。

★★★ Excellent!!!

この作品を読むまで、「隠れキリシタン」は普通にキリスト教を信仰していたのだと思っていた。

しかし、それは半分正しくて半分間違いである。
彼らが信仰したのは確かに「キリスト教」であったが、ひっそりと伝承していた為か、本家とはいくらか異なっている。
分からなくなってしまったところは彼らの手で補われているのだが、その根本が仏教であるのが面白い。

彼らはこれを「キリスト教」と信じ、信仰した。
この作品を読めば、その一途な想いに触れられるだろう。

翻訳してくださった作者の方へ、ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

カクヨムは翻訳案件のオープンソース化に適している。
と、個人的に考えている。
実際にやってみた感想だ。

古文書や外国語から現代日本語に翻訳して、公開する。
個人サイトでは手の掛かる作業が、カクヨムでは早い。
検索にもヒットしやすく、多方面からの関心を集める。

本作は、長崎の隠れキリシタンに伝わる独自の聖書を、
注釈をつけながら現代日本語に翻訳したものである。
日本的な仏教と混じり合った独特の物語が興味深い。

五島列島・福江島の堂崎天主堂の地獄絵を思い出した。
堂崎天主堂には禁教時代の資料が多数展示されており、
キリスト教とも仏教ともつかない「何か」に出会える。

私の父方の実家は、五島列島の隠れキリシタンである。
父も子供の頃は隠れキリシタンの儀式に参加していた。
その集落では信仰の隠れ蓑は仏教ではなく神道だった。

隠れキリシタンは元来、信仰の証拠を残さないために
文字資料を持たずに口伝のみに頼るとされているから、
過疎によって消滅した祝詞や説話は既にたくさんある。

そんな状況の中、こうして現存する『天地始之事』は、
歴史的な価値、民俗学的な価値が非常に高いと言える。
それをこうして現代日本語訳して頂けるとは有り難い。

2018年6月30日、世界遺産に登録された教会と集落の
すぐ近くで生れ育った、潜伏キリシタンの子孫として。
勉強すべき事柄への道標を頂き、本当に感謝致します。