第4話 なんやかんやの第4話

俺はそのまま、歩き続けていると、街があるのが分かった。城郭が見え、その街は昔、世界史の資料集で見たナントカ城に似ていた。そう、なんだっけ、なんかこうツヴァンツィヒみたいなやつ。

ナントカ城見ないな城がある街へ、俺は草原を歩いていると、近くで初めての人と出会った。さっきのゲームじゃないけど、街の人、全員に話を聞いて情報を集めよう。

俺はその同じく街に向かって歩いている人に話しかけた。その人は、フードを被り、背中の後ろに大きな荷物を持っていた。おそらく商人だろうか。街を行ったり来たりして、稼いでいるのだろうか。


「あの!」


「ひゃっ!」


「あ、すいません」


俺が話しかけた瞬間にその人は尻もちをついてしまった。荷物が散らばったので、俺はそれを拾って、その人に渡した。落とし物は、本だった。


「あの、これ落ちましたよ」


その人の顔を見ると、まだ若い少女だった。この世界では少女が働き、お金を稼いでいるのだろうか。


「ひゃっ!」


そう言って、彼女はその本を取り、フードで顔を隠していた。


——ん?もしかして、同じことしか言えないノンプレイヤーキャラクターかな?


「あの。これから街に行くんですか?実は俺も街まで向かってて。良かったら、あの街について詳しく教えて——」


「ごめんなさい!」


彼女は俺が話す間も無く、走ってすぐさま街の方まで行ってしまった。


「足早いな……小学校の頃リレーの選手だったのかな」


 俺は彼女が走り去った後、ふと足元を見た。すると、下にはもう一冊の本が落ちていた。


「あれ?これも忘れ物かな」


俺はそれを手にとって、パラパラとめくって見てみた。すると、そこには、俺の想像を超えるものがあった。ページを捲ると、そこにはみたことのあるような、所謂同人BLの漫画があった。これ以上は触れないでおこう。

そのまま、俺は街まで向かった。街まで向かうと、街の門の前には見張りの兵がいた。俺はすぐさま彼らに自信満々な顔つきでこう言った。


「俺、神の代行の者です」


「……」


彼らはすぐさま、話し合っていた。どうやら、神の代行というだけで、彼らはこの門を通してくれるようである。

ある兵は俺の目の前まで来て、言った。


「は?何言ってんの?お前」


「ん?」


「神の代行なんて言って、街に入れると思ったのか?舐められたもんだぜ。なぁ?」


「ん〜っと。どういうこと?」


「ここは通さねぇってことだよ!通りたけりゃ、硬貨を払いな!銀貨一枚だ」


「銀貨……」


「持ってないのか?なら、ここは通れないな」


「ちょっと!俺は仕事で来たんだけど。ここに入れないと物語が始まらないよ!」


「物語?何言ってんだ。お前。文無しはあっちにいきな。ほらしっし!」


「そんな〜」


 俺は一旦、その場から離れた。そして、作戦を考えた。


——ラミが神の代行って言えば、大丈夫って言ってたのに、全然ダメじゃん。どうしようかな。これじゃ、街の中に入れないや。どうしようかな。どっかに裏から入れるところは無いものかな。


俺は辺りを見渡した。そして、街の周りを歩き回った。すると、何やら門から少し歩いたところで怪しい人物を見かけた。その人物は、さっきのフードを被った少女であった。


「何やってるの?」


「ひゃっ!」


「……何やってるの?」


「わ、私はその……別に裏口から入ろうとしてるわけではなくてですね……」


「なるほどね!俺もその裏口使っていい!?」


「え!?ですから私は裏口から入ろうとしているわけではなくて!」


「ほら、行こう。俺も入れなかったんだ」


彼女が入ろうとしていた裏口をみると、壁に空いた穴があった。そこから街の中まで入るようだった。

俺は彼女の手を取って、街の中まで入った。


「あ!ちょっと!」


「いいからさ、行こうよ!」


 街へ入ると、そこには市場が広がっていた。市場を眺め、感心していると、さっきまでいた少女はまたもや姿を消していた。一体、彼女はなんだったんだろう。

俺は、ひとまずラミの言っていたことを確かめようとした。それは「神の代行」と言えば、「寝床にも、食物にも困ら」ないということだ。俺は試しに、街を歩きながら、一番近くにある宿を探した。すると、レモンハウスという宿があったので、俺はそこに入ってみた。

 入店してから俺は言った。息を飲んだ。


「あの、神代行の者ですが!」


 その瞬間、宿にいた何人かの給士はこちらを向いた。給士たちは一斉にこちらへやって来た。そして、俺を観察するようにまじまじと見た。


「な、なんですか!?」


「……」


誰一人、俺に返答することはなく、依然として俺のことを観察していた。


「あの〜?」


すると、給士達は話し始めた。そして、全員で俺のところへ来て、俺を囲んだ。給士達を見ると、みんな笑顔で俺のことを見ていた。

そうか。やっと神の代行ってことを分かってくれたのか。ありがたいことで。


「あの、俺、神代行の者です。神ラミの指令で来たんです。よかったら、ここに今日泊めてもらえませんか?」


「なに言ってるんですか?」


「え?」


「神の代行なんて嘘を言って、信じてもらえると思ったんですか?面白い方ですね」


「あの——」


「帰ってください。お金のない人に用はありませんので!それでは!」


 そういって、給士達は俺を全員で掴み、俺を宿の外へ放り出した。


「いって!ちょっと話だけでも聞いてくださいよ!」


「うっせぇ!さっさと帰りな!」


えー。怖すぎるよ。ていうか、宿泊めてくれないじゃん!


「頼みますよ〜!」


「帰れ〜!」


俺は、しぶしぶその宿から出て、街を歩いた。


——どうしようか。宿も泊まれないし、神の代行って言うとことごとくバカにされるし……。


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異世界で神になったけど、質問ある? ふくらはぎ @hukurahagi

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