第1話 なんやかんやの第1話
一週間前
俺は都内に暮らすサラリーマン。ジャパニーズサムライだった。しかし、俺の生活は、あることをきっかけにして変わっていく。
その日、俺はいつものように満員電車に乗り込み、会社へ向かっていた。その会社では俺は正直、社畜のように扱われていた。ていうか、そこの会社はブラック企業だった。俺は、就職活動をする際に、自分のことは何も考えずに、ただいたるところにエントリーシートを出していたので、どこかしらに内定がもらえればいいとしか思っていなかった。
結局、内定はいくつかもらったのだが、結局情報技術系のベンチャー企業に就職を決めたのだった。その甘い選択が俺の最大のミスだった。
会社へ着くと、まず上司は俺にこう言ってきた。
「あ、水越くん、コーヒー買ってきて。微糖ね。ブラック俺飲めないから」
「あ、は〜い!」
俺は笑顔全開でその上司のいうことに従っていた。というのも、一度その上司に「ブラックコーヒー飲めなんですか?」と言ったら、○発殴られたからである。それ以来、この上司は相当やばいと俺の中で認定が入り、この人には逆らわないようにしようと決めたのだった。
そして、コーヒーを買ってきた後、俺が会社に戻ると、上司に次にこう言われる。
「あ、水越くん。この資料なんだけど、作っておいてくれない?あと、自社の強みをもっと売り出さないとダメだよ。今年入社したからって、俺は厳しくいくからね。覚悟しておけよ」
「あ、は〜い!了解しました!」
「なに、その返事。なめてんの?」
「はい?なめてません!」
「その態度、なめてんだろ!!」
「なめてないですって!」
「君にはもっと指導が必要だな。最初のビジネス教育でマナーを学ばなかったのか?え?あ?お?う?」
「い」があれば、あ行コンプリートだったのになぁ。
「失礼いたしました!以後より気をつけます!」
「だから!その態度だよ!」
「はい?」
「口だけ言って、全然直ってないよ君!」
「ああ!そういうことですね!了解しました!」
「だから!」
上司からの説教で小一時間は毎日、潰れる。ここまで話して、皆様はお判りいただけたと思うが、俺は社会人に向いていない、ただの使いっ走り、口だけビジネスマンなのだ!
さて、こんな恥ずかしいことを勢いよく言った訳であるが、こんな俺のダメ人間社畜ぶりが一変することになる。それは会社へ勤めるのが嫌になってきていたその時に起きた。俺は日曜日、休日に家でオンラインゲームをしていた時のことだった。俺はいつものように自分のパーティとチャットをしていた時のことだ。突然、パーティではない、可愛いアバターの女の子が俺に話しかけて来たのだった。
「何でしょうか?」
「先日はお世話になりました」
「はい?お会いするのは初めてかと」
「いえ、以前、リアルでお会いしたと思うのですが」
「え?本当ですか?いつですか?」
「すみません、申し遅れました。私、株式会社ゴッドメイキングのセブンスター田中です」
「ああ!先日はどうも!しかも、内定を頂いていたのに、お断りしてしまいすみませんでした。セブンスター田中さん」
「田中で結構です」
「え?あ、はい。田中さん、それでどのような用でここにいるんですか?」
「それはですね」
「はい」
「やはり、私、あなたのような才能の持ち主は見たことがありませんでして……再び、スカウトしに来た訳なのですが……」
「それは引き抜きってことですか?」
「はい。まぁそのような感じであります。しかし、水越様は現在、他の企業にお務めのご様子なので、大変失礼であることは承知しているのですが……もしよろしければ、私のお話をご検討頂けますと幸いです」
「ああ、いいですよ!やめて来ます!」
「はい?」
「だから、明日からやめて来ます!俺、明日会社辞めます!」
「い、いやもう少し考えた方がいいのではないでしょうか?こんなに簡単にご決断されますと、私の方としましても、登場回数が稼げなくなる訳でして……」
「登場回数?なんの話ですか?」
「そうですね……。なんと言いますか、さすがは水越様です。あなたのようななんの軸もなく、人と触れ合い、人生を生きている方を探しておりました。」
「本当ですか!それは良かったです!」
「では、後日、こちらの方へきていただけないでしょうか?会社の場所は覚えておられますか?」
「はい!原宿ですよね!」
「はい。念のために、就職活動の時に登録されていたあなたのメールアドレスに会社の住所を送っておきますね。あと、日時も指定しておきますので」
「は〜い!それではまた!」
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