第2話 なんやかんやの第2話

後日、メールに記載してあった通りの住所と時間に従って、向かった。服装は、動きやすい服装と書いてあったので、どういうことなのかはわからなかったが、上はジャージ、下はスウェットで会社へ向かった。

前の会社はというと、辞表を提出すると、見事に何も誰にも止められることなく、すんなりと辞めることができた。というのも、俺はあの会社でなにもしていなかったからだ。えへへ。

俺は、昼頃に向かったため、満員電車とは縁遠い時間帯に電車に乗り込んだ。快適にまでに原宿までたどり着いた後、俺は現地まで向かった。会社の前ではセブンスター田中さんがスーツを着て待っていた。田中さんは俺の格好を見て、一回吹き出し、俺とは別の方向を向いた。俺はそのまま田中さんに話しかけに行った。


「今日はよろしくお願いします!」


「はい。よろしくお願いします。本当に動きやすそうな格好ですね」


「ええ!動きやすい格好と書いてありましたので!」


「そうですか。それでは、別室でお話しいたしましょう。当社の三階までどうぞ」


「はい!」


 俺は田中さんに付いて行った。三階までエレベーターで行くと、そこには部屋が一つだけあった。あたりを見渡すと、人がいる気配はなかった。ここの会社のオフィスは三階のみであるのに。

少し俺は異変を感じていたが、とりあえず田中さんの言う別室まで付いて行った。別室と言われるところにたどり着くと、そこには普通の客室間だった。


「どうぞ、お座りください」


俺は目の前にあった席に座った。田中さんは俺の目の前に座り、何か、資料を出し始めた。


「今日、伺ってもらったのは他でもなく、こちらの仕事を依頼したかったのです」


「はい……」


俺は田中さんが渡して着た資料を見た。その資料の題名のようなものをみると、〈神様代行依頼〉と書いてあった。


「なんですかこれ?」


「これは、神様代行の仕事です」


「神様代行?神様って仕事なんですか?」


「ええ、そうです。もっとも神様の大抵は引きこもりなので、大体を代行にやらせているのが現状です。それに近年、異世界の大量発生による神様の需要の増大。これによって、あらゆる異世界の神であるオーナー達が面倒を見きれないと言う状態にまでなっているのです」


「そんなことが……やりがいはありそうな仕事ですね!」


「それで、水越様に依頼したい仕事なのですが……こちらはかなり荒れている世界でして……今まで依頼したほとんどの方が途中で辞退しております。しかし、報酬は弾みます」


俺は報酬を見た。そこには俺の想像もつかない金額が書いてあった。


「一億!?」


「はい。ですが、報酬の支払いは翌月締め25日支払いとなります」


「ちょっと待ってください。こんな大金がそんなすぐに支払われるんですか?」


「はい。ですが、それは仕事の完遂後になります」


「ていうことは、一ヶ月ごとの仕事依頼という形ですか?」


「はい。基本的には、そうです。そして今回依頼を受けていただく異世界も一ヶ月更新となります。水越様の働きぶりがよろしければ、オーナーの更新契約ということもあり得るでしょう。しかし、その働きぶりがオーナー様に納得されないようでしたら、報酬は0となります」


「なるほど……」


「はい。ですので、じっくりと考えてから答えを出していただいて構いません。何にしても、この仕事は高収入ですが、大抵の方が失敗してしまいます。それに仕事はもっと他にもたくさんあります。転職先を見つけて、またどこかの企業で働くという道もありますので——」


「やります!」


「え?ですが、もう少し、お考えになった方が、私の登場回数がですね……」


「いえ、やります!」


「そ、そうですか。それならば、あなたの決心を無駄にすることはできません。それに行動は早い方がいいと思いますので」


「はい!」


「じゃあ、早速、これから行っていただく異世界のオーナーに会って頂けたらと思います」


「はい?って、え?今からですか?」


「そうです。今からその動きやすい格好で行っていただきます」


「異世界ってどうやっていくんですか?」


「それは今から説明いたします。それでは、こちらまで付いて着てください」


田中さんは、俺を別室から出し、隣の部屋まで連れて行った。その部屋に入ると、自転車がポツンと置いてあるだけであった。


「なんですかこれ。トレーニング室ですか?」


「いえ、違います。異世界転送装置です」


「え?これが!?」


「はい。今から説明していきますね。まず、自転車に乗ってください。そして、ギアを選んでいただきます。今回選んでいただくギアは六ギアです」


「はい」


 俺は田中さんのいう通りに、とりあえず自転車にまたがり、ギアを六にセットした。


「セットしました」


「それでは、次にペダルを漕いでください。タイヤが回り始めますと、異世界への転送が始まります」


「了解です!ってそれで終わりですか!?」


「はい、それでは、よろしくお願いいたします」


俺は自転車を漕ぎ続けた。動きやすいい格好という指定はこのためであったと気がついた。俺はそのまま漕ぎ続けた。目を瞑って、全身全力で漕ぎ続け、汗が流れた。俺は自転車を漕いだのは久しぶりだった。それ小学校以来で……。


次回、回想

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