移り変わる季節と、移り変わるかもしれない感情と

文芸部でひとり執筆活動を続ける先輩部員と、一切執筆をしない後輩部員。
強い感情が分からないと言う後輩部員と、そんな彼に密かに強い感情を抱く先輩部員の物語。

二人の“間”や心情が、季節の情景描写を挟んで表現されていて、丁寧に言葉を紡ぎ、文章を綴っているのが伝わります。
ゆったりとした時間の経過と共に、どこか諦念を孕んだ空気が、夕方の閉ざされた個室に充満しているような、読んでいる間はその独特な雰囲気に身を任せたくなる、個人的にはそう思える作品です。
IV話で動き始めた物語の行く末を、静かに見守りたいと思います。

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