第3話の結。序幕。あるいは、幕間。そして、閉幕。
腎虚寸前までの暴走を起こしたのは、保険の審査が通った後のことだった。ロジャー=ゴードンは約束通り、即座に通してくれたということになる。空港に出た被害も、搬送途中の事故としてゴードン総合生命が負担したと聞き及ぶとか。
ゲンジョーは意識を失ったまま、ゴードン総合生命の息のかかった病院に収容され、そのまま検査治療入院。速やかに肉体を自己負担なしで正常かつ健康的なものへと培養交換されることになるとかならないとか。
「はいはい、これにて一件落着」
一週間後に病院や保険会社から身元引受人であるハヤテに確認が届くが、それもいま認証したもので一段落だった。ゲンジョーが復帰すれば、速やかに資産も何もかも、元通りとなる。ヤツも大人だ、あとは自分でなんとかすることだろうと、まずは一安心。
「今日の予定ですが、午後に一件、お仕事依頼がはいってます」
アゲハの胸もいつのまにか一回りおおききく戻っているし、それに合わせるように買い与えた新品の看護服に収めて機嫌が良い。
「あとはもう、ヒマみたいなものです。先生、往診などは?」
カミングスーン――通称、カミさんもほっと一息。
ゲンさんも今日は犬の散歩で来ないし、まずは暇、暇、暇でありました。
***
同じ頃合い、赤鬼ロジャー=ゴードンは執務室で通信を受け取っていた。
差出人は『アレキサンダー』とある。
「エニグマクラッシャーも我が手に、そしてエニグマパニッシャーも、果ての辺境。……いまこそ、いや、これからこそ、エニグマの真の平和のために事を起こさねばならない」
赤鬼はひとつ息を吐き、返信をしたため始める。
「神よ、ご照覧あれ」
アレキサンダーに返信を送る。
赤鬼は、瞑目する。
いま、何かが始まろうとしていた。
何が始まるのか彼は予測していたが、どうなるかまでは予測を超えるだろう。しかしいま、矢は放たれたのだ。
***
このしばし
それが新たなるやぶ医者の活躍に繋がるのだが、それはまた
【 肝練り大銀河やぶ医者スナイパー 完 】
肝練り大銀河やぶ医者スナイパー 西紀貫之 @nishikino_t
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