徳川将軍に忠節の証として贈られた刀。
その刀が人を惑わし、人斬りへと変えてしまうものだったことから始まる、妖刀の呪いを祓う物語です。
主役である柳生宗章は、史実では物語の時点では壮絶な戦の末に討ち死にしているはずの人物。柳生流を体現するかのような人柄で、飄然としていながら抜き身のような危うさを持っています。
かれが弟の依頼を得て、妖刀の来歴に触れながら日ノ本を旅して回るという筋立て。
そして同行するのは二体の鬼。
もうこの時点でワクワクが止まりません。
歴史、あやかし、剣戟。これらが渾然一体となって血なまぐさくも素敵な世界を組み上げています。
ご一読を、是非に。心よりお勧めします。