23年前の僕らは胸をいためて「エヴァンゲリオン」なんて観てた

『新世紀エヴァンゲリオン』は凄いアニメだった…………というのは今更自分が語る必要もなく誰でも知ってるだろう。
ちょっと調べればエヴァの偉大さを伝えるデータがいくらでも転がっている。

しかしそれらはあくまで知識であり、そうしたデータを読んだところで、当時の異様な空気はなかなか実感するのは難しい。
今となってはもう20年以上も昔の話だ。リアルタイムで観ていた世代も当時の記憶は薄れかけているだろう。
そんな今だからこそあの頃の熱さの一端を感じ取れる、このエッセイをオススメしたい。

作者のハイロック氏はエヴァ放送時、ちょうど主人公のシンジくんと同じ14才。
人生で一番多感な時期にエヴァと出会った彼が、どのような衝撃を受け、どのように成長し、どのようにしてエヴァを許せなくなったかが、あの頃の中学生の視点からたっぷり書かれている。

前半部分は当時の記憶で書いている部分もあるので真偽が怪しい部分もあるし、また他のエヴァファンとは意見の割れそうな解釈もある。
だがそれもご愛嬌。というか、そこがいいのである。
ここで重要なのは正しい歴史ではなくて、一人の人間がエヴァをどう見て、どう受け取ったか、そしてどう表現するかなのだ!

あの頃エヴァを観ていたは懐かしい気持ちに、「エヴァ? 生まれる前にやってたアニメじゃん」という若者は新鮮な感覚に浸れるであろうエッセイだ。
あと少し先の話ですけど、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開されたら、是非こんな感じで感想を書いてもらいたいですね!

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

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