花蓮の安らぎ

 作者さまの『喪家の狼』をはじめとしたシリーズが好きで、何度も読み返させて頂いています。
 初めに『喪家の狼』で、猛爾元将軍の生涯に激しく胸を引き絞られ、ため息をつきました。その後こちらの『弥終の蓮』を拝見し、将軍の心を支えてくれる人がいたんだ! と嬉しくなりました。
 控えめで、しかし芯が強く、愛情深い文玲公主。その広々とした湖面のようなやさしさに、将軍のみならず、読者の私まで安らぎました。本当に、蓮の花のよく似合う、清らかな女性だと思います。
 作者さまの文体も、とても好きです。『喪家の狼』の、歴史小説を彷彿とさせる重厚さ。『弥終の蓮』のたおやかな涼しさ。
 『祈りの牝鹿』や『瑛国天還抄』の、明るさとみずみずしさ。(『祈りの~』の方は紫煙のような不気味さもあり、その落差がまたよいのですが)
 どれも憧れで、憧れゆえに緊張して、なかなかレビューできずにおりました(汗)。
 今後とも、作者さまのこのシリーズを楽しみにお待ちしています。