花は永遠の象徴、蓮は清らかさの象徴

中華風の世界観でつづられた、ある夫婦の愛の軌跡の物語です。

この夫婦の話をする前にまずこの二人の人生に大きな影響を及ぼしたこの男の話をせねばなるまい。
傑。この国の皇帝です。
表向きは主人公・猛爾元の主君です。
猛爾元の妻となった女性・文玲はこの傑の娘、公主です。
一応。
しかしこれらはあくまで表向きのことで、主君が臣下の者に娘を下賜する以上の大きな含みがあります。
猛爾元はどこまで行っても傑から逃げられないのです。
この夫婦は傑という巨大な存在のために人生が狂っていくことになります。
良くも悪くも頂点に立ち栄華を極めてしまった傑。その人間離れした、まさに天命を受けたにふさわしい男が、崩れていく時。国もまたともに崩れていく。
そこに大いなる歴史を感じます。

初めはぎこちなくなかなか通じ合わなかった二人が少しずつ静かな愛を育んでいく過程はとても優しく、だからこそ猛爾元にとってはこの結末しかなかったのだなあ……。

それでも歴史は続いていきます。
ひとの営みはそう簡単には終わらないのです。