したわしいみどりの匂い

 作者さまのお話をさまざま拝見させていただいたのですが、中でもしみじみとよい気持ちになったこちらにレビュー。
 掲載されているどの童話も、とおい子どものころに見たような、かぐわしい山野のみどりの香りのような、したわしいなつかしさを運んできます。
 その郷愁にじんと胸をあたためられ、ほっこりと微笑まされ、現在(2019年3月20日時点)掲載されているお話すべてを読み終えました。
 とりわけ私が気に入ったのが「桃の話」「稲の切り房の話(二)」「山吹の話 」。
 「桃の話」は少年シュイのけなげさと切なさに心をうたれ、「稲の切り房の話」では霜の少女の愛らしさにくすりとしました。また「山吹の話」は蛙のキャラクターが粋でかっこよかったです。
 うつくしい日本語とゆたかな世界観、ゆったりと堪能させていただきました。