小説を書くのが好きな人へ

 ここまでつらつらとえらそうなことを書いて、すみません。


 つまり私が言いたいのは、「面白けりゃいいんだよ」ってことです。


 反対を言えば、「つまらなかったらダメじゃん」って意味でもある。

 意地悪でしょ。




 でも、一億人が共感できるものなんて、だれにも書けないのです。


 私がつまらないと思うものを、他の人は面白いと言うかもしれない。

 私が面白いと思うものを、他の人はつまらないと言うかもしれない。



 なにが面白いのか、だれにもわかりません。

 それはプロの編集者でも同じです。


 知り合いの売れっ子作家さんは、一次にも引っかからなかった作品をほかの賞に送りつけて、大賞を取ってデビューしました。


 ハリーポッターと賢者の石は五社もの出版社にことわられ、最後の出版社の編集者は自分で読むつもりもなく、小学生の娘に読ませて「面白い」と言ったので、ためしに五百部売ることにしました。




 なにが面白いかなんて、わかりゃしないのです。


 だったら好きに書けばいい。


 でも、面白いものを書きたいのならば、人の意見にも耳を傾けるべきです。

 なぜなら、自分の作品を客観的に読めないのは、世界で自分だけだからです。




「あんな感想を言われたけど、別にいいんだ!」と開き直る方。

 おおいに結構。

 しかし、開き直った自分の胸に、うずきはありませんか?


 読み返してみて「最高だな」と自画自賛する方。

 おおいに結構。

 しかし、かすかに「ここが変だな」とうずきをおぼえたりはしませんか?



 そのちいさな「うずき」は、自分が向上する絶好の機会です。

 決して見落とさず、直してみてください。

 気づけたのならば、必ずよくなるはずです。



 五年後、十年後。

 自分の作品を読み返すときに、あなたは多少なりと「客観的に」作品と向き合えることになります。そのときに面白い作品を読みたいのならば、今、面白い小説を書けばいい。



 小説にルールなどありません。

 なにをやってもかまわないのです。

 ただ、効果的にさえなっていれば、小説はおのずと面白くなります。

 読んでいてイライラさえしなければ、一応は読めます。




 好きに書いちゃってください。


 面白ければいいんだから。



 書き続けましょう。

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書く人 みりあむ @Miryam

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