子ども達は辿り着く。遥か宇宙の彼方にある、人情溢れる下町へ。

「純粋に」育てられたデザインチャイルド、スペチル(宇宙版ストリートチルドレン)の子ども達、大人の身勝手に振り回されて「当たり前の幸せ」を知らなかった彼らは、「神田駅」に辿り着いた。――そこはきっと、彼らの孤独な旅の終着駅だ。

神田は人々の繋がりがとても密で、大人たち全員が子どもの保護者という温かい環境。いまの日本でもきっと絶滅危惧種のような、人情味あふれる下町です。地上ではなく、宇宙コロニーにも関わらず四季折々の変化があり、その様子はとても美しく温かい。お寺があって、神社があって、町工場があって商店街があって。「ノスタルジック」という表現に相応しい、ひとつの理想郷が広がっています。

そこの住人たちは地球人だったり異星人だったり様々ですが、みんなものすごく「ちゃんとした大人」で、神田に辿り着いた子ども達は彼らの包容力に癒されて行きます。
(そんなシリーズの中で異彩を放つ『その心は誰が為に』も大好きです(笑)ジャス可愛い)

とにかく、周囲の大人たちがちゃんとしていて安心感が凄い。現実の大人たちは大人になり切れていない未熟な人間も多いですし、作中にも「神田の外」ではそんな人たちも多くいます。でも、神田に辿り着いたなら大丈夫。

そんな安心感のある世界が魅力だと思います。