海洋浮遊生物系触手型星人グレッグは、亡くなった元上司の娘の亜子を、養女として迎え入れ養育している。たしかに「普通の親子ではない」ように見える。けれども。「普通ではない」というだけで、好奇の目で見られたり、誇大妄想で傷つけられていいなんてことは、決して無い。なぜならグレッグと亜子の関係は「普通の父娘」なのだから。この親子の幸せを願わずにはいられない、あたたかい家族の物語です。
春は水温みつぼみ開く季節、と同時に少し寂しい季節でもありますよね。異種間父娘を取り巻く優しさも難しさも、すぐ隣にありそうで、しかし父娘の姿は絶対現実では見れないもので。凄く不思議な感じがする作品です。ほんのり切なくて温かいお話です。
触手型星人のおじさん・グレッグと、彼の上司の忘れ形見である少女との、疑似親子もの。異種族が地球で生活しているという世界を舞台に、短い文章の中で偏見や差別を描く作者さんの技量は感服します。冬から春へ、まさに「氷が解ける」ような繊細で優しい時間を、お弁当や空からあげの作り方、日用品の買い出しといった、本当に些細な日常で描いています。異種族同士のあたたかなお話が読みたい方にぴったりの一作です。
懐かしの定型文から繰り出された衝撃の真実に度肝を抜かれました。というより爆笑しました(笑)ファンタジーに限らずSFにもゆかりが深いコズミックな存在をぶち込んでくる作者さんが好きだゾ☆あの柔軟な発想もグレッグさんといた賜物であると解釈しても趣がありそうで良かですなぁ。では次回作があがったらまた遊びに来ます! 本日もお疲れ様です。
触手、宇宙人、人外。これだけのキーワードを揃えながら、生活は哀しいほどにリアルで、けれどホッとする。読んでいる間中、優しく暖かい時間が流れているかのよう。春の陽射しを思い浮かべながら読んだ。