「約束」をスッカリ忘れて牢の中。稀代の「奇」術師の元へ現れたのは…。

 良く言えば軽妙洒脱、悪く言えばいい加減なお調子者の「稀代の術師」ヴァン。種も仕掛けもある「奇」術興業でその日暮らしの彼は、辺鄙な村で弟子入り志願をされた。

 本物の「種も仕掛けもない」魔術が存在する世界で、種と仕掛けの要る奇術で生計を立てる主人公。「どうせただの奇術師だ」とやさぐれ気味の人生を送っているようだが、話術も巧みでしたたかな、魅力的な人物である。
 難儀な人生だなとも思ってしまうが(笑)、そこがこのお話の魅力だ。
 ラストのド派手さは、この世界の魅力を体現していて、是非是非その後の彼の活躍が見たいと思った。

 しかしお兄さん、火遊びはほどほどにしないと今度は真っ黒に焦げますよ。