体育館に魔王が現れた!第10話

大臣

グチャグチャを 整えるための ワンテンポ

 第一話 ハイロック様https://kakuyomu.jp/works/1177354054884288275/episodes/1177354054884288418

 第二話 カメ麦茶様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884288746/episodes/1177354054884288952

 第三話 山吹様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884291664

 第四話 ギンピカ様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884292350

 第五話 人間の触覚様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884294178

 第六話 雨天荒様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884293538/episodes/1177354054884297639

 第七話@kurotatane 様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884320493/episodes/1177354054884321030

 第八話 西木草成様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884329354

 第九話 鮭様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884336136/episodes/1177354054884336144

 念のため第十話 再びのハイロック様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884288275/episodes/1177354054884341230



 序盤はハイロック様のものを踏襲して書きます。パクってはないからご安心ください。




 呆然とするしかない。なんなんだ一体。

 いったい誰が悪いのか、何のせいなのか、全くわからない。なんだよ大根女って。

 俺たちは、きっと同じ思いだっただろう。だから、みんな同時に叫んだ。イッセーノーせって、タイミング合わせたのかと思うぐらい

「そんな理由かよ! 剛腕!」

 あ、敬称消えてる。そんなことはどうでもいいが。

「そんな理由とはなんだ! 私には、大根女は、生活の一部なのだ!」

 いや、力説されてもなぁ……

「でもなぁ、先生、あんたは俺たちに怪我がさせたよなぁ、どうする気だよ」

 福田ジャブよ、よく言った!

 確かに、ジャブと、薩摩は、土埃とともに現れた、魔王の腕の餌食となっていた。かなりギューと握られていたなー、肋骨とか、大丈夫かなぁ。

「いやぁ、あれはだな、正当防衛だと思うよ。」

 はあっ?

「誰だってさぁ、危害を加えられたら逃げるなり反抗するなりするよね。君達の前は、だれも危害を加えなかったんだから、君達のせいだよ。」

 多分、俺は今、ひどい顔をしているだろうというのがわかった。なぜなら、怒りで頭に血がのぼるのを感じたからだ。

 でも、まだ理性があった。この時は。

「でも先生! この壊れた建物とか、私達の傷とかに対する責任は?!」

 マノマノが必死の形相で剛腕先生を追及する。しかし剛腕先生は、

「そんことは知らない。君たちが勝手に関わって来て、勝手に傷ついたんだ。自費が妥当。あと、君たちが何もしなければ、私は何も壊さずに済んだんだ。だから、君たちが補償したまえ、それより、大根女を只野から取り返してくれ、私の生活を返してくれ」

 と、自分中心の発言。おまけに、

「僕は嫌ですよ、みなさんどうにかしてくださいよ」と、只野が応じる

 もう、我慢ならない

「何が大根女だ! 2人して!」

 俺の叫びに、全員の視線が向く。

「なんでそんな、人間かどうかすらわからないものに、熱をあげるんだよ! そのせいで、何人の人が巻き込まれたと思ってんだ。頭使えよ!」

 そのとき、頭上からプロペラ音がした。

 魔王–−−剛腕先生のレーザーによって吹き飛ばされた、体育館の屋根。かつてそこにあった屋根の代わりに、そこを埋める青空に、数台のヘリが現れていた。

 何事だ? いったい?

「おい、勇者!」

 不意に、瓦礫まみれの体育館の入り口から声がした。見ると酒場転太がこっちを見て叫んでいる。

「どうしたー?」

「テレビみろー!」

 テレビって、あるわけ無いだろ。スマホだとしても、さっき壊れたよ。そんなことを考えていたら、俺の視界にスマホが一つ差し出された。見ると、ユダが右手にスマホを乗せ、無言で差し出している。どう見ても俺のスマホだ。

「お前、どっから出した? 」

 俺はそのスマホの電源を入れ、テレビをつける。


『こちらが、魔王が出現したキヨセ市第一高等学校です。ご覧ください、体育館は酷い有様です。中央に見えるのは、生徒でしょうか、元魔王の、剛腕氏を囲んでいます』


「なんだこれは!」

 俺は思わず叫ぶ。なんで情報が伝わっている? どうして? この場にいるやつのうちそんなことができるのは、1人しかいない。

「ユダ! 何をした!」

 思わず睨みつけるような視線になるのを自覚する。

「うーん、事実だけを言うとさ、マスコミをリアルタイムの魔王の情報で操って、ここに来させたんだ。もちろん、さっきの話も全部リークした」

 お前は魔術師か。つくづく俺はそう思う。

 でも、カラクリがわからなくても、ファインプレーではある。剛腕先生と、只野がしたことを、白日の下に晒したのだから。

 結局、剛腕先生には、器物損壊、傷害、公務執行妨害を理由となり逮捕された

 只野は、警察に事情を聞かれるらしい。

 その裁判は、簡単に終わった。


 それから一ヶ月後。


「それでは、開廷します」


 俺は裁判所の傍聴席にいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

体育館に魔王が現れた!第10話 大臣 @Ministar

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ