小説リレー企画「魔王が体育館に現れた 第1話」

ハイロック

第1話「魔王が体育館に現れた」

「大変だ!勇者君、魔王が体育館に現れたぞ。」

 そんな脳みそに何か湧いてるんじゃないかということを、只野村人タダノムラトは大声で叫びながら、教室に飛び込んできた。


「なんだよ只野君、俺の貴重な時間を邪魔しないでくれよ。」

 そうとも今は、昼休み。わざわざ学校を抜け出して買ってきた焼き立てメロンパンをピルクルと一緒に楽しむ貴重な時間なのだ。


「そんなこと言ったって、魔王、魔王が現れたんだぞ、勇者のお前が何とかしろよ。勇者なんだからさ!」


 そう、僕は勇者だ。

 姓は勇者、名はヒロシ。

 生まれも育ちも東京都キヨセ市、東京都民とは名ばかりの田舎住まい、勇者ヒロシとは俺のことよ!


 そう名前が勇者なのだ、もしかすると特殊能力とかがあるのかもしれない。


 でも今のところ俺がそういうのを出したことはない。


 おじいちゃんが、その昔異世界に行って、かつて魔王を倒したことがあるのだとか、おばあちゃんが実は昔プリキュアだったという話も今のところ聞いたことはない。

 ただし、俺は勇者なので、運動神経抜群、成績優秀、この間の河合塾の模試ではなんと全国1000位以内に入ったのだ、もちろん校内では一位。

 そういや言ってなかったが、高校3年生、つまり受験生だ。


「魔王がどうしたの、只野君。」

 そういって、話に割り込んできたのは、

 学園のアイドルで、俺の幼馴染の「愛野魔女マノマオ」だ。発音がめんどくさいということで、まわりからはマノマノちゃんと呼ばれている。

 

 ちなみに、彼女が魔法を使ったのを見たことは今のところない。

 

 しかし、いろいろな相手に恋の魔法はかけているようである。

 勇者のおれはそんな魔法には簡単にかかったりはしないといっておく。


「マノマノちゃん、なんか、突然魔王が体育館に現れて、世界を征服してやるって宣言したんだ。それで、みんなビビっちゃってあわてて、体育館から飛び出したんだ。そして俺は先生に頼まれて勇者を呼びに来たんだよ。」

 

「それって、魔王って名乗ってるただのやばいやつなんじゃないのか。」

 なんで世界征服するのにうちの学校の体育館に来るんだよ。


「いやいけば、分かるって。まじで見るからに魔王なんだよ。言葉では説明できねぇ!もう、口からレーザーとか出す感じなんだよ。」

 口からレーザー出す感じがどういう感じかさっぱりわかんねぇ。


「マノマノも気になるなぁ、魔王。ねぇ勇者見に行こうよ。」

 すごく無責任なことを魔女は言いだした。お前はいつも、何でも首を突っ込みたがり過ぎなんだよ。全く昔から、俺はお前のせいでトラブルに巻き込まれるんだからな。


「っていうか、そんなやばいやつなら、俺が行っても仕方ないだろうよ。」

 そうそう、話を信じるわけじゃないが、口からレーザー出されたらいくら名前が勇者のおれでも即死だっつーの。

「そんなことないよ、勇者ならレーザーに耐えるよ。」

 そういって魔女は俺の肩をポンとたたいた。

 顔を見ると、とてもにっこりしてる。くそ、いつも俺はこの笑顔に弱いんだ。


「じゃあ、まぁ、見るだけな…。それに俺だけじゃ不安だ、仲間が必要だ。」


 俺一人では不安だ。そう今は昼休み、各教室にいろいろな部活動のエースがいるはず、そいつらに頼んで一緒に行ってもらおう。


 こうして俺の魔王退治?は、パーティ集めから始まった。


カメ麦茶さんによる2話目です↓

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884288746/episodes/1177354054884288952


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