生と死と血と臓物と肌色と愛に溢れたどこかおかしいスプラッタファンタジー

主人公は不死である。力なき不死である。
自分が死なないだけで周囲を守れる最強でも万能でもない。
ただ、彼は足掻き続ける。死なぬからこそ他人の『命』に必死となり、みっともなくとも悲劇と絶望に戦い続ける。

悲惨な世界なのに、どこか滑稽な日常。血と臓物と肌色と死に溢れているのに、コメディに見えるシュールさがある。格好悪いのに誰よりもヒーローに見える。彼が明るくてふざけていて、苦悩しながらも、いつも前向きだからなのだろう。綺麗で取り繕った格好よさではなく、みっともなくとも大事なものを守ろうとする芯のある人だからだろう。彼の悲劇と喜劇に満ちた活躍にいつしか心奪われ、目を離せなくなる。

「真実の愛」を求める不死の英雄はどんな愛を得るのか。
悲劇と喜劇、生と死、コメディとシリアス、攻めと受け、色々な面をくるくると見せる物語。
人の色々な顔を見せてくれる物語。貴方は何処に心惹かれるだろうか。

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