0-3 どうやら私には使命があるようです。
私は髪をこんなに派手な色に染めた記憶もないし、染めようとも思わない。ましてや目の色なんてカラコンとかを使わない限りそうそう変えられるものではない。
それなのになぜ自分の髪と目の色が変わってしまっているのか。別に不都合はないからどうでもいいといえばいいのだが。
疑問の視線を神様に向けると、彼女(本当に性別があるのかは定かではないが)はその意をくみ取ったのか、特に大きな意味はないけど、と前置きを置いたうえで、
「なるべく悪目立ちしないようにって思ってね。それだけだよ。ちなみに服装もそれっぽくしてあるからね」
言われるまで気づかなかったが、服装もたしかに変わっている。なんというか、農民の女性が着ているようなワンピースみたいだ。
「そんなことより、あなたには大切なお仕事があるんだよ」
ずいぶんとまた急な。
どうせ神様からの仕事なんてロクなものではないということは目に見えている。私は一刻も早く第二の人生を謳歌したいというのに。
「えー…いったい何?こんなビミョーな能力じゃ無双もできないし、できることなんてそう限られてくるんじゃない?」
「そんなことないよ!だってお仕事って探し物だもん」
探し物?神様も落とし物などをするのだろうか。まぁこのポンコツ神様ならありえないことでもなさそうだが。
でも、探し物なら観光ついでに探せば問題ないだろう。特に大変そうな仕事じゃなくて肩すかしを食らったかのような、ホッとしたかのような妙な感覚だ。
「探し物って言われてもね…私の能力は気配とかを探知するんでしょ?あんまり役には立てないと思うけど?」
「それについては大丈夫!近くにあれば私がわかるからね!」
さすがは神様、というべきだろうか。
ていうかそれなら自分で探せばいいのに。
「ふーん、で?何を探すのさ?」
その時ちょうど後ろを向いていたロリ神様がぴくり、と反応した気がした。あまり触れたくない話題なのだろうか、ゆっくりとこちらを振り返りながらも私の顔を見ようとはしない。
「…ミスティファクト」
やけに小さい声でぽつりと一言。聞きなれない言葉だ。アーティファクトならよく創作物とかで聞くけど。
「その、ミスティ?ファクトっていうのは?」
「それは――――」
彼女が何か言おうとしたその瞬間、雷に打たれたかのように私の脳裏から背筋にかけて嫌な予感が走った。今までに経験したことのない、時間がゆっくり流れるかのような錯覚に襲われる。
これはヤバい。
自分の勘に身を任せてロリ神様の体を抱きかかえ、全力で跳躍。
その直後、その勘が正しかったことが思い知らされる。
つい先刻まで自分たちがいたその場所には、とても自然の現象とは思えない極大の雷による大穴が空いていた。間違いなく食らっていたら即死だろう。
突然の危機に対して無意識のうちに周囲を見回す。
そして――――
いつからそこにいたのだろうか。湖の水面では大きな生物らしきものが異様な圧力、さらには明確な殺意をこちらに向けてこちらを見つめていた。
その鮮やかな蒼色の細長い体躯は、元いた世界ではあくまで伝説上の存在として描かれていた龍そのものだった。
転生した薙刀少女の使命はロリ神様のパシリでした。 イソフラボンボン @ymssoy13
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