番外編② ストーリー作りの二歩目

 さて、一歩目はトラブルを考えよう、それがスムーズ。

 という話をしました。


 ミステリーなら死体を転がせってやつですね。

 ロボットものなら未知の強大な敵の襲来。

 異世界モノなら荷物持ちのパーティー追放。

 悪役令嬢なら舞踏会での婚約破棄。

 ドラマならパンをくわえた女の子と衝突。


 トラブルの種は尽きませんね(笑)


   ✒


 しかしここで二つの分岐点が発生します。


 一つはトラブルが斬新な場合。

 これはもう問答無用で引き込まれます。しかし、ココを思いつくのが最も難しいわけです。


 もう一つはトラブルが斬新じゃない場合。

 斬新な発想なんてそうそう出てくるものじゃありません。だからテンプレートになっていたり、もしくは同じような導入になりがちです。


 でもここで、斬新な発想がないからあきらめようか、となってはいけません。


   ✒


 振り返って、読み手としてはどうでしょう?

 ここまでよくあるパターンのトラブルがあっても、もう少し読んでみようかという気持ちになりませんか?

 わたしはここから先がやっぱり気になります。

 たぶんほとんどの人がそうでしょう。

 そして次に注目するのはなんでしょう?


   ✒


 そう、キャラクターです。

 一口にいってしまうとキャラクターの魅力です。

 そこを注意深く表現していく必要があります。

 特に冒頭での登場シーン。


   ✒


 わたしも作品を書くときは特にここに注意してます。逆に読むときはこの辺りが続けて読むか読まないかのになります。


 そこで当然考えるわけです。

 キャラクターの魅力をどういう風に効果的に伝えるのか? ってなことを。


 漫画とかアニメ、映画なら、ビジュアルで一発で表現することも可能でしょう。独特な風貌、洋服の恰好、兵器とか。しかしそれを文字で起こすとなると、かなりの分量が必要です。


 だから外見は後回しにします。読み手としても、外見の圧が高いものは、覚えることが多くて、けっこうストレスになりがちです。


   ✒


 では最初になにを書いていくのか?

 これはもう行動です。動いて、話して、巻き込んで、とにかく行動させます。そうすることでストーリーがどんどん進んでいきます。


 その行動の間に、外見の説明を挟んでいくんですが、これもただ挟むだけじゃダメです。外見を説明する必要性が欲しいんです。行動する中で必要な外見描写を追加していくイメージですね。


 そういうのがあると、外見とか特徴なんかもすごく書きやすく、同時に読みやすくなっていくわけですね。


   ✒


 これはナイショ話の最初の方でも書きましたが、要はイメージの付け足し作業です。キャラクターのイメージを最小限で印象的に、行動の中でどんどんと付け足していくわけです。


   ✒


 たとえば悪役令嬢が婚約者を蹴っ飛ばすシーンを書くとします。


 令嬢の外見も婚約者の外見もとりあえずあとまわし。

「なんて意地の悪い女だっ! お前とは婚約を破棄……」

 その言葉が言い終わらぬうちに、ロングのドレスを翻し、顎先にクリーンヒットを埋め込む。

 吹き出した血で婚約者の白いタキシードが真っ赤に染まる。

 そこで令嬢はレースの手袋を脱ぎ捨て、婚約者の顔にたたきつける。

「決闘を申し込むわ、フルコンタクトでね」

 みたいな感じでしょうか。


 行動の中でかなり外見を放り込んでみました。


   ✒


 まぁこんな風に考えながら私は序盤を書いてますよ、という話でした。

 いつもの通り話半分、斜め読みでお願いします。


 しかしまぁ、かなり主張のつよい回になった気がしますね(笑)ちなみにこれはあくまで自分でも理想としている線で、自分でそれができているとは限りません。


 さて、あなたなら、この例文のシーンどんなふうに組み立てますか?

 

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ナイショ話 関川 二尋 @runner_garden

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