柳生十兵衛に続き、超獣大陸先生がまたまた放つトンデモ剣豪伝奇‼︎

口惜しい――私は実に口惜しい。

なにが口惜しいか。それはこの小説の面白さがである。

小説を書く人間の端くれとして、私はこの小説に激しく嫉妬させられた。

「柳生十兵衛――心眼の太刀」において剣豪・柳生十兵衛の痛快なる活躍を活写した超獣大陸先生は、間を置かずに公開したこの小説で、またもや剣豪小説の魅力に溢れた快作をものしてみせた。

文量は「柳生十兵衛」よりもいや増して、面白さの密度はけして前作に引けを取らない。否、長ければ長いほど抜群に面白くなるのがこの作者の特徴なのである。

本作に登場する剣豪は松林蝙也斎。徳川家光の御前試合において「蝙蝠」と称された剣豪だが、この物語の主人公は蝙也斎自身ではなく、この老剣士に師事する若き剣士である。

前作で見せた戦闘描写のクオリティはそのままに、本作ではこの二人の剣の道に対する思想もまた魅力のひとつとして加わっているのだ。

剣の道――それは得てして血塗られた道だ。その道の過程で、若き主人公は何を見、そして何を悟ったのであろうか。

読者よ刮目せよ――ここにエンタメ小説の真髄がある。