第8話〜弱者の悩み〜

「どうしよう…」



俺は悩んでいた。何にかというと、つい先日行ったクエストの事である。

そう、そのクエストで自分の無力さを嫌という程思い知らされた。しかし、モンスターを倒さないとLvは上がらない…。

これからの事を考えてみてもレウスに頼りっきりではダメだと思っている。

そんな事を考えていると、


「おーい、隆吾ー!いいもの見つけたぞー!」


出掛けていたレウスが家に帰ってくるなり俺の元へ駆けつけ、チラシを見せてきた。


「なんだこれ?」


そう言いながら俺がチラシに目を配ると、そこには大きな字で、


"モンスターを倒せなくて困っている皆さん!朗報です!うちのところでバイトをすると、経験値が貰えLvをスムーズに上げることができます!"


と、書かれていた。


「お前にピッタリだろう、隆吾!行ってくるといいさ!」


「いや、これ怪しいだろ…!なんでバイトしてLvが上がんだよ!?そんな物があるなら誰もクエストに行かなくなるぞ?」


「まて、早まるな。しっかり見てみろ。ほら、Lv10以上の方は対象外ですって書いてあるだろう?つまりだ、初心者はまずはバイトしてLvを上げる。そんな事この世界じゃ常識だろう?」


メチャクチャ真面目に説明されたが、まだこの世界に来てから1ヶ月も経っていない俺に常識を押しくけないでいただきたい…。まぁ、そんな事言っても無駄なんだけどね…。


「仕方ない、そこまで言うなら行ってみるとするか…。それってどんぐらいの期間働けばいいの?」


俺は1番気になっていることをレウスに聞いた。すると、


「えーっと…、あぁ、これだ。1週間だってさ」


「1週間か…」


って、えぇ!1週間!?そんな短期間でLv10になれんの!?もっと早くに知りたかった…。ちょっと待てよ?なんでユイはこの事を俺に知らせてくれなかったんだ?


「おい、ユイ!お前バイトの事とか知ってる?」


「ん?バイトって何のことですか?」


知識がないだけでした…。


とまぁ、色々あり今は昼過ぎを回ったぐらいだ。


俺とユイは準備を整え今からバイトに行こうとしている。


「じゃあレウス、留守番よろしくな!」


「おう!任しとけ!」


やはりレウスは頼りがいがある。

それに比べてコイツは…、


「隆吾さ〜ん!なんで私も行かなきゃなんないんですか〜?」


「いや、お前が1番ダメダメだからね!?そんなの当たり前でしょ!?」


やる気の無さやば過ぎだろ!怒鳴りたくなったが、ここで怒鳴ってしまってはユイがひきこもりになってしまいそうだったので胸の奥でこの怒りを食い止める。


そして、このバイトは結構遠くまで行かなくては行けないので、向こうの宿に1週間泊まるつもりだ。だからレウスに留守番を頼んだ。


「よし、じゃあそろそろ行ってくるわ!」


「おう!気をつけろよ!」


俺達はレウスに見送られながら我が家を後にした。

そして、これから長い長い1週間が始まる。



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神に愛されし男の異世界物語 Raizu @Raizu0231

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