あくまで本格ミステリを下敷きとして、RPGゲーム(勇者や戦士が登場するドラ◯エ的なもの)の世界観をめっちゃうまく取り入れていて、これすごい!面白い!と唸ってしまいました。
現実世界との最も顕著な差異は、魔法で「生き返る」ことが可能なため、死に対する価値が著しく低いことです。
「死んだら終わり」ではなく「死んでも復活できる」ため、死の重みや意味が大きく変化し、現実世界とは異なる独特の価値観や倫理観が生まれるわけです。
個人的に感心したのは、第一話目「勇者ホイホイの殺人」において、探偵役が、あるキャラのある特性に言及するシーンです。詳しくは書けませんが、その特性を紐解いていくと……、ある別の解釈が生まれるわけです。
これは、完全に盲点で、とても鮮やかなトリックだと思いました。
脱帽!
(ちなみに第二話目の「竜の国の殺人」のメイントリックもスゴイです。スゴイというか凄まじいです……!)
最後まで本格としての強度がしっかり保たれていることに感心しました。
さらに、魔王には魔王の理があり、これもちゃ~んと説明しきっています。
お見事でした~~~~!!!!!
魔王を討伐せんと旅を続ける戦士視点で描かれた、異世界ミステリー作品です。
突出した才能こそないものの、バランス取れた編成で旅を続ける勇者パーティー。
そんな彼らが森の中で見つけたのは、煙突から煙の湧き出る立派な洋館でした。
長旅の疲れゆえに足を踏み入れた一行は、先駆者の言葉によってこの洋館が魔王の作り出した牢獄であることを知ります。
幸い、時限式の封印であり、脱出できるのは1週間後。しかもご丁寧に食料まで用意されている。
至れり尽くせりの様相に緊張感が緩みますが、そこで思ってもみなかった事態が発生し、物語が一気に姿を変えます。
突き詰められない原因、悪化していく人間関係。パーティーは無事に洋館から脱出できるのか。
ぜひ読んでみてください。