最終部 新年度
終章 あるいは次の序章
第400話 オリエンテーション後の放課後に
「説明お疲れ様」
「いえいえ、皆で作った原稿を読むだけですから」
美洋さんはそう謙遜する。
「でも美洋はああいう発表上手いのだ。色々人を引きつけるのだ」
確かにそうだよなと僕も思う。
4月8日放課後。
いつもの準備室。
新入生対象の課外活動のオリエンテーションがあったその後の放課後だ。
「今日は新入生、誰か来るかな」
「わからないな、初日だし様子見という人も多いかも」
「そうだよね」
そんな事を話しつつもちょっとそわそわしていたりして。
説明のパンフレットは十部程つくってまとめてある。
新人歓迎体験キャンプの案内パンフも中に入っている。
更にフキやコシアブラ、つくし、タラの芽といった野草料理の見本も冷蔵庫にしまってある。
団栗のクッキーまで。
装備もランタンとかバーナーとかわかりやすい小物は見本を置いてある。
テントやザック、寝袋も隣の実験室にスタンバイ済み。
つまり新人さんどうぞいらっしゃいという態勢だ。
「昨年はどうだったのだ?」
「2日目くらいに美洋が来たのが最初だっけ。その前に別件で悠と彩香が来ているけれどな」
「昨年は募集活動をしませんでしたしね。一人だし、廃部もしょうがないかなって」
「こんなに増えるとは思わなかったしさ」
確かにそうだよな。
廃部寸前と聞いて、入ろうとしたら美洋さんがいて、そして未亜さんが加わり亜里砂さんも入って。
山菜採りから始めてハイキング、釣り、無人島サバイバル、登山、雪山。
サイクリングは行けなかったけれど色々やったしな。
この学校来る前はこんな活動をするとは思ってもみなかった。
それに彩香さんはやっぱり可愛いし。
色々楽しいよな、中学に入ってから。
「悠、何をにやけているのだ」
亜里砂さんがニヤニヤしながら俺の方を見る。
さてはまた俺の心を見たな。
「見えてしまう物は仕方無いのだ」
まあ亜里砂さんの場合は確かに仕方無いのだけれど。
コン、コン。
扉をノックする音がした。
新入生かな。
「はい」
彩香さんが立ち上がって扉を開く。
新入生らしい生徒が3人立っていた。
女子2人、男子1人だ。
「すみません、こちらは野外活動部ですか」
彩香さんは頷いて笑顔で応えた。
「はいそうです。こちらへどうぞ」
今週末は合宿です ~ 深草学園野遊び部・アウトドア歳時記 於田縫紀 @otanuki
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