蒼き月夜に来たる

作者 ながる

異世界から落ちてきたユエと出会った青年。彼が彼女を拒み続けるその秘密は

  • ★★★ Excellent!!!

 異世界転移、というと最近は何だか訳がわからないうちに違う場所にいた、というお話が多い気がするのですが、この物語は主人公ユエが異なる世界へ「落ちて」くる瞬間がとても印象的に語られるところから始まります。

 そこでユエが最初に出会った青年カエルレウム——通称カエル。転移先で出会った相手と運命的な恋に落ちる……というのは、よくあるお話なのですが、主人公ユエとカエルのこの二人、全く一筋縄ではいかないのです。

 カエルに惹かれていくユエに対して、なぜか頑なに彼女を拒み続けるカエル。彼女がいくつも経験する出会いや旅の中で、その秘密が明らかになった時はああ……と思わず声が出てしまいました。

 とにかく前向きで強く明るいユエと彼女を巡る多くの登場人物たち。美味しそうな料理や少しざわざわとした酒場のリアルな描写、そして、繊細な言葉で綴られる心の機微は本当にため息が出るほど美しいのです。

 個人的には、徹底的に報われないし報われようとも思っていない神官サマ、ルーメンがとてもとても突き刺さりました……。彼のスピンオフもあるとのことなので、まだまだこの世界に浸っていきたいと思います。

 世界の謎と、複雑に絡み合った人々の秘密と恋の物語。おすすめです!

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