蒼き月夜に来たる

作者 ながる

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★★★ Excellent!!!

 異世界転移、というと最近は何だか訳がわからないうちに違う場所にいた、というお話が多い気がするのですが、この物語は主人公ユエが異なる世界へ「落ちて」くる瞬間がとても印象的に語られるところから始まります。

 そこでユエが最初に出会った青年カエルレウム——通称カエル。転移先で出会った相手と運命的な恋に落ちる……というのは、よくあるお話なのですが、主人公ユエとカエルのこの二人、全く一筋縄ではいかないのです。

 カエルに惹かれていくユエに対して、なぜか頑なに彼女を拒み続けるカエル。彼女がいくつも経験する出会いや旅の中で、その秘密が明らかになった時はああ……と思わず声が出てしまいました。

 とにかく前向きで強く明るいユエと彼女を巡る多くの登場人物たち。美味しそうな料理や少しざわざわとした酒場のリアルな描写、そして、繊細な言葉で綴られる心の機微は本当にため息が出るほど美しいのです。

 個人的には、徹底的に報われないし報われようとも思っていない神官サマ、ルーメンがとてもとても突き刺さりました……。彼のスピンオフもあるとのことなので、まだまだこの世界に浸っていきたいと思います。

 世界の謎と、複雑に絡み合った人々の秘密と恋の物語。おすすめです!

★★★ Excellent!!!

転移ものは、アップダウンの連続!感情の針も振り切って行け!そんなコト、ダレが決めた?
主人公に共感しながら世界観を楽しむなら、リアルな「わたし」目線がいいんです。
フツーの感覚でするする読める、等身大の「わたし」がいる物語を、主人公ユエといっしょに体感できる作品です。

★★★ Excellent!!!

夢のなかでいずこかへ墜ちたユエ。気づいた場所は岩山で、青く光る水に浸かっていた。彼女をたすけたのは、身体に魔方陣を刻んだ謎の青年カエルレウムと、美女テリエル。聞いたことのない国、風俗でありながら、何故か二重放送風に言語の通じる世界で、ユエは通訳として生きていこうとするが……。
魔法と神様の加護が存在する世界で、人攫いや嫌味な神官らの起こす騒動にまきこまれつつも、自分の居場所をみつけていく女性の物語――。


”異世界落っこち系(?)”ファンタジーです。一人称主人公は二十代の女性ですが、どこか飄々とした性格で、異世界の観察に適した性格と感じます。
派手な魔法や戦闘描写などはありませんが、彼女をとりまく人間関係、青年カエル(レウム)との恋愛模様が、実に繊細に、丁寧に描かれています。衣服や食事、お茶の描写が素敵です。
優しく、繊細な恋愛ファンタジーがお好きな方に、お勧めします。