ああ、何とか抜けてほしい

私がこの物語を読み始めたのは本当に偶然で、2024年7月時点でまだ一月もたっていません。いま、325話まで来たところ。

他の方のレビューにもある通り、文章の質感、張り巡らせた背景の緻密さ、それをすべてかっ飛ばす登場人物のそれぞれの存在感。ああ、これは最高だ、と。本になっていることは最初気づきませんでした。その後の状況はどうやら残念なようですが、もっと前に知っていれば微力ながら購買などできたと、その点は悔やむところであります。とはいえ、この物語を見逃す出版社はやっぱりなかった。少なくとも最初だけでも紙になったことはとてもうれしいことにも感じました。

そして読み続け数日。しかし…ああ、なんというか13歳の後半に入ってのこの感じは一体何なのか。内面を掘り下げる感じでもない、ただ単に筋が入り組みすぎていると感じられて。

普段はあまり拝見していないのですが、著者様の近況メモも見てみました。するとどうやら1-2年前からの世情から、意図しない方向に物語が変わっているようです。

…ああ!

勿論世間がどうなっているか、その時その渦中にいる方の思いとか。あるいは商業的な出版物として気にしなければならないところとか。

想像することしかできませんが、あるのでしょう。私もいい年、わからないわけはない、

でも。でもですよ。

最後の著者様近況からほぼほぼ1年。その時に気になさったことは、さて今どうでしょうか。勿論続いていることもあるでしょうが、新たにもろもろも起こっています。

今更どうしようもありませんし、どうしてくれ、というつもりでもないのです。

しかし、しかし。

これほど素晴らしい登場人物たちがこれほど面白そうな物語の舞台にいるのに。どうしてたかだか(とあえて言います)この数年の地球の状況に引っ張られなければならないのか。

食に関するエッセイ等も拝読、たぶん著者様はリアルでも相当、相応に地位なり影響力なりあるいはご自分の生きている爪痕を残したり、あるいは感じたりなさっているのでしょう。敬服に値することです。

しかし、しかし。物語においては。

どうか、それ自体が語りたいことに「流されて」くださらないでしょうか。
何年か経てば、むしろなんでそれに気を使っていた?と思われるようなこともあるかもしれません。あの2011もコロナ渦も、すでに過ぎたことに見えています。中東もヨーロッパもそうであるのでは。

なんとかこの流れを抜けて、スサーナの人生があるがまま(これまでよりもありえないような激流に流されるだけかもしれませんが)に過ぎていくことを祈りたいと思います。


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