本作はほぼ初期から、読ませて頂いてました。
1年ほど休載された際は、いいとこで終わってるのもあって、心配しましたが、復帰後ますます素晴らしい展開ですね。
いつかちゃんとしたレビューを書こうと思いつつ、書けずじまいでしたが、今回、本気のレビュー書いてみました。
以下レビュー本文
派手なキャラクターがハッタリ(ケレン味)の効いたチート能力で暴れ回る――そんな昨今の異世界無双モノの潮流に対し、本作は「硬質なSFマインド」と「ストイックな男の美学」という、真逆のアプローチで見事なカタルシスを生み出している傑作だ。
最大の魅力は、主人公であるダン・タカナシのキャラクター造形にある。
ファンタジー世界という狂騒の渦中にあっても、彼は少しもお硬い軍人としての芯をブレさせない。ともすれば地味になりかねないストイックな男を主軸に据えながら、物語を一切ダレさせることなく、むしろその静かなプロフェッショナリズムによって熱量高く盛り上げていく筆力には脱帽する。
この主人公の気質に呼応するかのように、作中に登場する科学の描き方も極めて誠実だ。
よくある「とりあえず未来兵器を持ち込みました」という思考停止の無双ではない。現代の最新テクノロジーの「その先」や「斜め上」の発展を予感させる超技術でありながら、それがなぜ成立するのかという「説明」と「理由」が、どこまでも丁寧に、理詰めで描写される。魔法のような便利機能として誤魔化さない「ケレン味のない科学」だからこそ、そのチカラがファンタジー世界に解き放たれたときのインパクトは絶大だ。
この丁寧なロジックは、戦闘描写の「解像度」の描き分けにも現れている。宇宙船兵装が空間を削る「神々との試練」から、国・組織レベルの戦略戦、そして個人の泥臭い白兵戦まで、マクロとミクロの戦いが完璧に制御されている。さらに、安易な「胸糞ざまぁ」に頼らない品格あるストーリー展開も、作品の質を高めている。
ハッタリに頼らず、緻密な設定とストイックな人間ドラマで真っ向から読者を唸らせる、大人のための本格SF異世界ファンタジー。本物の「知的な興奮」を求めるすべての人に、強く一読を勧めたい。