とても面白い!発想と展開に舌を巻きました。
流行りとは… 文化とは… と考えるきっかけになります。
言葉は生きている。とよく言いますし、実際に色んな新しい言葉が生まれたり、古い言葉が特定のニュアンスを携えて復活することは日常茶飯事です。
でも、流行りは流行りなんですよね。すぐに死ぬ。死語になる。
文化になるには、何がいるんだろう?
理解のしやすさ?有益性?美的な響き?既存の文化との融和性?
色々と考えてみましたが、良く分かりません。
でも、何かがある。という感覚を読みながら実感しました。
流行りが流行りのまま、文化になったらこんなに奇妙な世界になるんだなぁ。と諧謔が効いた短編でした。
挨拶、それは誰もが日常生活の中で使い、生活に根付いた基本の言葉。
おはよう、こんにちは、ありがとう、さようなら。
未来永劫普遍で変わり映えの無い最もポピュラーで日常的な言葉遣い、それが挨拶。
――そう、勘違いしてるのではありませんか――――?
物語を拝見させて頂いた私は、読み始めてすぐに、この物語の着眼点に関心し、そして同時にそこに描かれた『IF』の世界、まるで近未来の可能性を示唆したかのような一つのリアルな未来のお話にちょっとした恐怖を覚えました。
物語全体を俯瞰してみれば、間違いなく近未来日常を描いたちょっとした洒落の聞いたコメディであり、某SNSのパロディなオチまでしっかりとしたお話なのですが
そこに描かれる本来の我々が持つべき常識・価値観を持った主人公が、近未来の常識の中で異物として苦しみ、悩む姿……
これは、ちょっとしたホラーですよ?
気軽にサクっと読めて、それでいて考えさせられる作品『挨拶っていいね』
現代社会の言葉遣いの乱れに一石を投じるかのようなこの作品、是非皆様もご一読ください。
近い未来のことを描いた短編小説です。
挨拶をしたら「ぷぷっ」と吹き出されたり、古風だと言われたり……。
そうです。
この世界では、挨拶は全て「いいね!」なのです。
多分、言われた側はニュアンスを汲んで「いいね(おはよう)」「いいねっ(なにやってんだ君はっ)」を判断すると思われます。
……ですがね。
こんな世界。近づいてきてますよ。
「やばい」とか「ですよね」とか。
「それ、一体どんな意味で君は使ってるんだ」と尋ねたくなりますし。
そしてもう一つ。
この近未来に登場する登場人物の名前。
……日本人だと思えなかったり、ふりがながないと読めなかったり……。
だけど、現実社会でもそうじゃないですか?
ちょっと前じゃ考えられない名前の子どもが増えました……。この短編小説の登場人物たちのことを笑えません。
ちなみに私が一番読めなかった名前は、「未来」と書いて「あとむ」という男児でした。
いろんな余韻が残る短編小説。是非、ご一読を。