優しい世界、個性的で生き生きとした登場人物。笑える。

ホワイトデーお返し物語。
メインキャラクターたちの個性がすごく出ている。その個性は「個人のパーソナリティー」と「関係性」の2方向で描かれている。それらは、なんというか、すごく優しい人たちが織りなすサークルのお話だ。
その「優しさ」が実に程よい。

学園小説にはよくあるハーレムもの。まして今時点になると、ネット小説系の「甘やかされた世界」が多々ある。そういった物語に登場するヒロインたちは、あまりに男性的に都合の良い思考回路をしている者ばかりだ。愛玩人形のように。

しかし本作品のヒロインたちは、絶妙なバランス感覚を持って、主人公へ「親愛」を示しており、それが創作でありながら「現実的な雰囲気」を持っているのがすごく良い。

既刊で、瀬川が壊れたPCのためにヤバめなバイトを思案した際、担任教師が伝えたあのセリフが今は良く分かる。作者はそれをしっかり持っているのだと感じる。
青春の時期、かけがえのないひと時の心の機微、その純粋さと誠実さのなんと尊く貴重なことか。

既刊全巻購入しているファンの感想です。色眼鏡は当然入る。だって大好きな作品だもの。

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